ポイント②:自然に行う「ブロックプレー」
「ブロックプレー」というのは、端的に言えば、相手選手の進路を妨げるプレーにある。
だが、これを露骨にやってしまうと、反則行為と見なされることが多い。「相手競技者の進行を妨げる」ことはルール上認められていないからだ。
それ故に、サッカーではそれを「いかに自然にやるか」がキーになってくるのだが、そういう意味では、このシーンにおける「ブロックプレー」は秀逸であった。
フェルナンジーニョから縦パスを受けたガブリエウ・ジェズスはドリブルを行うのだが、少しボールが足から離れ、ラヒーム・スターリングがカバー。さらに、スターリングもボール処理を少し誤るのだが…彼がここで次に選択したプレーがスパーズMFムサ・デンベレに対する「ブロックプレー」であった。
デンベレは、縦パスが入ったタイミングでかなり距離を詰めていたのだが、このスターリングのプレーの影響でボール奪取する機会を損失。最終的にジェズスはボールを収めることに成功し、ギュンドアンへ展開。その後のカウンターアタックを円滑に進められたのである。
この「ブロックプレー」が、狙ったものであったのか、偶然だったのかはわからない。だが、このプレーがなければ、おそらく、デンベレがジェズスに対してタックルは仕掛けられた可能性は高かっただろう。
そして、攻撃スピードの低下、さらにはカウンターアタックの失敗へと発展していたことも考えられる。
地味なワンプレーかもしれないだが、スターリングがさり気なく行ったこのプレーは大きなアシストであった。
ポイント③:フィニッシュに人数をかける
このゴールはドリブルで持ち込んだデ・ブライネの強烈なシュートで「仕上がる」わけだが、個人的に目を引いたのはその前のシーンにあった。
下記の画像はドリブルが始まる前のワンシーンである。
ギュンドアンからパスを受けたデ・ブライネがペナルティエリアに侵入する直前を切り取ったものだが、フィニッシュの局面でボールを持った選手だけではなく、きっちりと周囲もゴールに向かってランニングしている点がはっきりとわかるはずだ。
また、デ・ブライネから離れるように中央に入ってきたサネの動きは相手守備陣からすると厄介なもので、デ・ブライネに最も近いポジションを取れていたDFエリック・ダイアーはこのサネのポジショニングで悩まされたことだろう。
実際、ダイアーはシュートブロックのシーンでデ・ブライネとの距離をしっかりと詰めることができなかったが、これは最後の最後まで「サネとデ・ブライネの両方を見る」必要に迫られていたためだ。
さて、少し話がずれてしまったが、「フィニッシュに人数をかける」ということは簡単そうで意外と難しいものだ。
しかし、このようにきっちりとそれを実行することにより、ゴールの決定率は格段に上がる。
「ボール保持者に選択肢を増やすこと」だけではなく、「セカンドボールの回収」や「GKに弾かれたボールの押し込み」なども行いやすくさせる作用があり、最終的に強いシュートを放てる(理想的にはゴールで終える)可能性も高まるという寸法だ。
また、カウンターアタックを行う際に、最も防止したいことは「途中でボールを奪い返されての逆カウンターアタック」である。
しかし言わずもがな、「きっちりとシュートで終える」、「こぼれ球につめる、セカンドボールを拾うポジションを取る」ことが実行できている限りは、逆カウンターに遭遇することはない。
「単純だが極めて重要な約束事をピッチにいる選手が忠実に守る」
彼らがこれほどの勝利を重ねられる理由の一つがここにもあるかもしれない。