先制の機会を逃し、攻守の歯車が大きく狂う

21日に行われたプレナスなでしこリーグ2部開幕戦を振り返ろう。

3年連続で2部・7位に終わっているASハリマアルビオンは、敵地で昨季リーグ最少失点を武器に4位へと躍進したオルカ鴨川FCと対戦。

悪天候の中で前半こそ苦しんだものの、70分に今季から攻撃時にはトップ下、守備時にはボランチという新たな役割とポジションを与えられているFW千葉園子が貴重な先制点を決めた。

千葉が「開幕戦でこんなに気持ちよく勝ったこと今までにあったっけ?」と言うほど、良い流れのまま追加点も奪ったハリマ。今季の昇格候補に挙げられるオルカを、敵地で0-3と破る快勝で開幕戦をモノにした。

ホーム開幕戦で迎えた相手は、ニッパツ横浜FCシーガルズ。中3日のハリマに対して、シーガルズは雪の影響で開幕戦が中止となっていたため、この試合が今季の“開幕”となる。

試合は序盤からホームのハリマがボールを支配。DFラインの4人と、攻撃時は<4-1-3-2>の布陣の“1”を務めるアンカーのMF小池快、必要とあればGK切畑琴乃も加えた後方の6人でポゼッションを確立する。その上で相手の4バックに対して2トップ+両サイドMFの4人が最前線で張って攻撃に幅を確保。そこにタイミングをずらしてトップ下の千葉が裏抜けを狙う。

リスキーな戦い方だが、印象的だったのは昨季まで味方のダブルボランチに後方をプロテクトされて自由を与えられていたFW葛馬史奈。右サイドMFとして起用され、チームがボール保持時は最前線まで駆け上がって攻撃の幅を作ったり、独特のリズムを持つドリブルでチャンスメイク。また、相手ボールになっても懸命にプレスバックに戻ったり、自らのインターセプトで攻守の切り替えを先導。その“変身”ぶりは別人にも見えた。

しかし、チームは決定機を決めきれず。

逆に相手のシンプルな攻撃に対して一瞬反応が遅れて対応した16分、自陣ペナルティエリア内でファウルをとられてPKを献上。今季よりシーガルズの新主将となったMF加賀孝子に冷静に決められて先制を許す。

さらに27分には左サイドからのクロスに対して、少し後ろに引きながらフリーとなったシーガルズのFW大滝麻未が華麗な左足ボレーを放つ。彼女が豪快にネットを揺らした。