ポゼッションサッカーは「アンチテーゼ」から生まれた
ポゼッションサッカーの代名詞と言えば、スペインのFCバルセロナ。彼等がなぜその方法論を用い始めたのか?それは30年ほど前に遡る。
当時のバルセロナを率いていたのはヨハン・クライフ。彼の現役当時のオランダ代表やアヤックスが体現した「トータル・フットボール」をバルセロナへ移植した。それがボールポゼッションを軸に据えた「ドリームチーム」で、現在のバルセロナのルーツとなっている。
その過程には、それまでマンツーマン一辺倒だったサッカー界にゾーン守備を導入したアリゴ・サッキ監督、そして彼が率いたACミランの存在があった。
「ゾーンプレス」と呼ばれる戦術で、高い位置でボールを奪うことがチャンスであるという考え方である。練習では「バックパス禁止」が義務付けられていた。自陣で奪われるぐらいなら、前に蹴って押し上げた方が良いという考えだった。DFラインを押し上げてコンパクトな陣形を作り、中盤にスペースを作らない戦い方。
戦術コンセプトがシンプルで、ボール支配を厭わないので選手の力量が問われない。そのため、多くのチームがこれを導入し始めたのだ。
そして、そのゾーンプレスに対抗すべく、ゾーンの隙間=相手選手の“間”でパスを受けて打開していこう…というのが、バルセロナ流のポゼッションサッカーだったわけだ。
ただ、ポゼッションサッカーにはタレントが必須とされるが、当然ながら女子サッカーにそれを求めるわけにはいかない。
むしろ、ここはリーガエスパニョーラでバルセロナが5年ぶりにボール支配率で上回られたことで話題となり、“カミカゼ”と呼ばれたパコ・ヘメス監督時代(2012~2016年)のラージョ・バジェカーノを目指して欲しい。
当時のラージョはリーガ最貧クラブで最多失点を喫するチームでありながら、「このチームでプレーしたい」という若き才能が集まるチームになっていた。
今季のハリマにもDF須永愛海、岡倉海香、MF吉武愛美、FW本多由佳など、なでしこ1部で出番に恵まれずとも、ポテンシャルは確かな選手が大勢新加入した。彼女たちや千葉、葛馬、FW内田美鈴のような個の能力の高い選手を活かすためにも、まずは脆さの課題が出尽くすぐらい、拘ったサッカーをしてもらいたい。
そして、この記事をご覧になっている読者の方にも、ぜひハリマアルビオンの「改革」を目にして欲しい!
ASハリマアルビオン、4月は関西で3試合!ぜひ会場へ
≪プレナスなでしこリーグカップ2部:グループB≫
→なでしこ2部クラブを地域別に2組に分け、ホーム&アウェイ総当たり2回戦のグループリーグ首位同士が7/21or7/22に決勝戦を戦う!
第1節、4/1 (日)13:00K.O. ハリマ vs 湯郷ベル@ウインク
第2節、4/8 (日)13:00K.O. ハリマ vs 愛媛L@ウインク
第4節、4/21 (土)14:00K.O. バニーズ vs ハリマ@太陽が丘
筆者名:新垣 博之
創設当初からのJリーグファンで女子サッカーやJFLを取材するフットボールライター。宇佐美貴史やエジル、杉田亜未など絶滅危惧種となったファンタジスタを愛する。趣味の音楽は演奏も好きだが、CD500枚ほど所持するコレクターでもある。
Twitter: @hirobrownmiki