■変わらないコンセプトと躍動する新戦力たち

琉球をJ3優勝&J2昇格に導いた金鍾成氏が鹿児島ユナイテッドの新監督に就任し、横浜F・マリノスやY.S.C.C.横浜などを率いた樋口監督を迎えた今シーズン。前述の通り布陣変更があったものの、最終ラインから丁寧なビルドアップでボールをつなぎ、常に複数人が連動するパスサッカーは不変だ。

そのパスサッカーに加えて、「前線からのプレッシング」も戦術的特徴である。そして、そのプレスに欠かせないのが、町田から獲得した鈴木だ。

町田と言えば、縦横ともにコンパクトな陣形を保ち、前線からのプレスと鋭いカウンターが武器のチーム。鈴木は2トップの一角でレギュラーとしてプレーし、得点はもちろん、積極的な守備でも大きく貢献していた。新天地でもその姿勢は変わらず、“町田仕込み”のプレスで戦術のカギを握っている。

また、2トップの一角でサイドに流れてのチャンスメイクなど得点以外の役割もこなしていた町田とは異なり、琉球ではフィニッシュにより専念できる環境が整った。開幕からの4試合で決めたゴールは5で、早くも昨季の得点数に並んでいる。このペースを維持できれば、最低でも20ゴールを期待して良さそうだ。

鈴木とともに新加入組で躍動しているのが、新キャプテンに就任した地元出身の上里だ。

中盤の底でバランスを取り、ベテランらしい味のあるプレーを見せている一方、意表を突くロングシュートやプレースキックでも存在感を発揮。

左足の破壊力は国内でも屈指なだけに、ロングレンジのパスで局面をガラッと変える姿も数多く見てみたい。上里の左足はパスサッカーを進化させる可能性を秘めている。