近年、ドイツで中堅クラブとしての地位を確立してきたアイントラハト・フランクフルト。
しかし今季はブンデスリーガでチャンピオンズリーグ出場圏の争いを続けており、ヨーロッパリーグでも1stレグでのビハインドを覆し、ベンフィカを撃破して39年ぶりとなる欧州カップ戦での4強入りを決めた。
その立役者となっているのが長谷部誠だろう。昨夏限りで日本代表を引退した35歳はリベロのポジションで新境地を開き、今やMVP級の評価を受けている。
そんな彼については守備的なポジションということもありなかなかその活躍ぶりをお届けすることができなかったが、今回はベンフィカ戦でのこちらのプレーをピックアップしよう。
この場面、ロングボールの対応では相手のFWにきっちり体を当てたものの、体格の違いは明らかでボールを落とされてしまう。
しかしここからが素晴らしかった。すぐに切り替えてパスコースに入ると、一度はボールが“神童”ジョアン・フェリックスの足元に渡ったが猛プレスでボールロストの誘発に成功。
すると今度は足元にパスを受けて数メートル持ち上がり、スペースへ走り出した味方へ正確なロングボールを供給したのである。
空中戦の対応からプレスバック、そして配給…わずかな間に何度も“脳のスイッチ”を切り替え、ゴールにこそ結び付かなかったものの決定機にまで繋げたのであった。
これぞイタリア語で自由を意味するリベロらしい働きだろう。自身は「マテウスやベッケンバウアーとは違う」と謙遜するが、彼が“カイザー”(皇帝)と呼ばれる所以をこのプレーからうかがい知ることができた。
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シーズンも残りあとわずか。ELでは準決勝でチェルシーとの対戦が待っているが、ここを突破し、日本人としては小野伸二以来となる欧州カップを掲げてほしいものだ。