高校サッカー史に残る偉業を果たした青年は、来季のJFLで新たな伝説を築く。

JFLいわきFCへの来季加入が内定した仙台大MF嵯峨理久(4年、青森山田高卒)は「まずは獲得してくれたチームに貢献してJ3昇格を目指したい。(個人の目標は)3冠王(※年間最優秀選手、得点王、新人王)を目指して全てを出したい」と、未だ誰も成し遂げていないJFL個人タイトル3冠王を目標に掲げた。

(写真:本人提供)

青森山田高では主力メンバーとして高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグファイナルと全国高校選手権の2冠に貢献。166センチと小柄ながら無尽蔵のスタミナと切り裂くようなスプリントは圧巻の一言だ。Jリーグクラブ数チームが獲得に動いていた実力者は、新天地での活躍を渇望していた。

高校サッカー屈指の黒子役

秋田県の天王小1年の時に天王SSでサッカーを始め、小5の時に青森県の木ノ下小に転校してヴァンラーレ八戸FC U-12でプレーした。木ノ下中ではウインズFC U-15で背番号10を背負い、軽快なドリブルを武器にチャンスメイカーとして活躍。日本代表U-15の候補合宿に選出されるなど、青森では傑出した存在だった。

中学卒業後はJリーグクラブの下部組織からも誘いを受けたが、高校サッカー屈指の強豪校の青森山田高へ進学した。期待を胸においらせ町から青森市へ渡った嵯峨。だが全国最高レベルの高校では熾烈な争いが待っていた。

同期にはMF高橋壱晟(ジェフユナイテッド市原・千葉)、GK廣末陸(FC町田ゼルビア)、DF三國スティビアエブス(順天堂大、水戸ホーリーホック内定)、FW佐々木快(新潟医療福祉大、ヴァンラーレ八戸内定)、2016年全国高校総体、全国高校選手権の得点王FW鳴海彰人と実力者がそろっていた。嵯峨は「人間性の大切さ、メンタル面と心技体が成長した」と振り返った。同期以外にも優れた選手が多く、少しでも気を抜けば脱落する過酷な環境だった。