ウェンブリーで行われたEURO2020の決勝。チケットを持っていないファンがスタジアムの警備を強引に突破して強行侵入する事件はショッキングだった。

『Independent』によれば、当日のウェンブリーやロンドン周辺でイングランドファンたちが公然とコカインを吸引する様子が撮影されていたという。

そのため、地元警察はコカインを使用したファンをサッカーの試合から除外するための権限を求めている。

チェシャー警察のマーク・ロバーツ署長によると、サッカーファンの間ではコカイン使用は一般的であり、何年も前からスタジアムで行われてきたという。

同署長は「現在のサッカー禁止令(Football Related Offences and Football Banning Orders)はアルコール乱用についての問題を規定しているが、これを薬物使用にも対応させたい。サッカー禁止令がどれほど時代に即しているかを見直す時期にきている」として、薬物を所持する者に対してサッカー禁止令を科せるような変更を求めている。

グラウンドに入ろうとした際にアルコールを所持していた場合や酔っていた場合に対応する罪はあるが、薬物については同じような規定はないという。

行動学の専門家もEURO決勝が行われたウェンブリーで発生した暴力的な混乱にコカインの使用が影響しているのではないかと危惧している。

ケント大学の人類学者で、サッカーマニアたちを専門とするマーサ・ニューソン氏はコカイン文化が拡大していると指摘。

同氏は(英国の)サッカーファンたちのコカイン使用率は全国的な平均よりも高いという研究結果を発表している。調査に参加したうちの3分の1弱が、1年以内のサッカーの試合でコカイン吸引を目撃したと答えたほか、そのうち6%は自分でも使用したことを認めているという。

その論文では「サッカーファンはコカイン使用に関連した攻撃的な結果が増幅される集団である可能性がある」、「実際、コカインは若者文化の要素になっており、アルコールと並び、試合への移動中から試合終了までに競争心や攻撃性を煽るものになっている」とも指摘されている。

【動画】決勝を台無しにする愚行…ウェンブリーへの強行突破侵入シーン

内務省の報道官は「サッカーに関連した暴力などはいかなるものであっても容赦されない。そのため、サッカー禁止令によって、およそ1400人のフーリガンが、現在試合への出入りを禁止されている。この法律は常に見直されており、今週、首相はネット上での侮辱を行った者に対するスタジアム出入り禁止を最大10年まで延長することを発表した。麻薬は人生を破壊し、家族を崩壊させ、コミュニティに損害を与える。よって、我々はこの問題に取り組むために政府を横断する麻薬ユニットを新たに創設した」としている。

【Qolyインタビュー】J2ジェフユナイテッド千葉DF岡庭愁人が母校の先輩からもらった言葉…未知のコンバートを乗り越え「熱くて、強い選手になる」