近年のサッカー界で議論になってきた指導者ライセンス取得の是非。

本田圭佑などはライセンス不要派だ。新庄剛志氏が指導者経験なしで北海道日本ハムファイターズの監督になった際、「サッカーも早くライセンスをなくしたほうがいい」という持論を述べた。

では、日本サッカー協会の人達はサッカー界のライセンス制度をどう思っているのか。

そうしたなか、JFAユース育成ダイレクターを務める影山雅永さんが、DAZNの『FOOTBALL TIME』に出演した。同氏はドイツでB級コーチライセンスを取得し、日本のユース年代で監督などを歴任してきた人物で、JFAのロールモデルコーチである内田篤人の“先生”ともいえる存在。

内田が本田の発言にも触れつつ、「今の指導者ライセンス」をどう思っているかを聞くと、影山さんはこう答えていた。

「それはどこのライセンス? 全体でっていうことかな。

(内田がS級ライセンスがないとJリーグの監督ができないとかと説明すると)

大事だと思いますね、僕は。

そりゃそうだよね、僕はS級もA級もインストラクターやってるのにあんまり大事じゃないですよなんて言うわけない。大事です。

これはドイツとかオランダで成功例も失敗例もあって。ちょうど僕が1998年からドイツにいた時に、1999年から2000年にかけて、ドイツサッカー協会がケルンの近くにある僕もB級ライセンスをとりにいったヘネフというスポーツシューレというところで、1990年W杯の優勝メンバーであるマテウスとかリトバルスキーとかクリンスマンとかGKケプケとか、そこに(後の)レーフ監督もいたんだけど、優勝に絡んだ選手たちを中心にした特別プロライセンスコースを開いたの。

自分も毎日見にいってたの、ボロいフォルクスワーゲンのゴルフで(笑)。

でもね、結果、ドイツサッカー協会は二度とこういう特別コースは作らないって、失敗だったって認めている。本当は8か月から1年近くかかるのよ、ドイツのプロライセンスコースって。

それをすごく短くしてやったんだけども、あまり効果は得られなかったっていう風にドイツサッカー協会は言っている。

それから、オランダサッカー協会でも、名前を出すとかわいそうだからあれだけど、ある元代表選手をスキップさせて早くプロライセンスコースをとらせた。

それでクラブの監督とかをやったんだけど、これもすぐにダメになっちゃったっていうのが続いて。

オランダサッカー協会もやはりしっかりと教育を受けて、実地の訓練も含めてやってからじゃなきゃ失敗例の確立が多すぎるっていう結論を出している。

(日本の)S級ライセンスっていうのは、プロのJリーグの監督ができるっていうこととともに地域をまとめて発展させるっていうそういう目的も持っている、指導者の養成として。

だから、トップのトップを強くするっていうのもそうだけど、地域をサッカーを通してもっとよくする、そういうリーダーになれるっていうのも目的としてはあるんですよ。

なので、勝たせるためだけではない」

影山さんは筑波大を経た後にジェフや浦和レッズなどでプレーした経験もある。指導者転向後にシンガポールのU-16代表監督を務めた際には短期間で強制的に戦術などを詰め込んだが大失敗。選手が練習にすら来なくなってしまい、そこから指導法をあらためたとも話している。

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内田も選手としての経験は豊富だったが、コーチになった時に指導者としては無知だと気付かされたという。なので、ライセンスにはカテゴリーもあるが、色々な人の考えを取り入れる機会を持つことは非常に大事だと感じたという。

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