この流れに関して、当然国内の識者から批判の声が挙がった一方、「長期的なスパンで見れば、代表強化に繋がる」と好意的な声も目立つ。

現在のFIFAの規定では、5年以上の継続居住歴を満たしていれば国籍変更が可能であり、現在のUAE代表には前述の条件を満たしてアルゼンチンから帰化したFWセバスティアン・タグリアブエ(37)、それぞれブラジルから帰化したMFファビオ・リマ(29)、FWカイオ・カネド(32)らが主力として活躍中。

彼らに加えて「定住者枠」の選手達が今後5年以上継続してリーグでプレーすれば、UAEへ帰化し外国籍枠に関係なくプレーできる。将来的にUAE代表が全員海外出身のプレーヤーになることだってありえるのだ。

※現時点での「定住者枠」ベストイレブン。UAEリーグは外国籍のGKを認めていないのだが、GKがいないと寂しいのでU-20代表の守護神アブドゥラ・アル=ハンマディを選出した。

  • GK アブドゥラ・アル=ハンマディ(20/UAE/アル・ジャジーラ)
  • DF アブドゥラズィーズ・ムフタウ・オウォラビ(22/ナイジェリア/アル・ワスルFC)
  • DF レナン・ダ・シウヴァ(20/ブラジル/シャバブ・アル・アハリ・ドバイ)
  • DF マクス・オルテラード(21/パラグアイ/アル・ナスルSC)
  • DF ルベン・カネド(20/ポルトガル/アル・ワフダFC)
  • MF アンドリヤ・ラドヴァノヴィッチ(21/セルビア/アル・アインFC)
  • MF シニシャ・ヨラヴィッチ(20/セルビア/アル・アラビ)
  • MF タファヅワ・ドリワヨ(21/ジンバブエ/ディーヴァ・アル・フジャイラ)
  • MF ユーリ・セザール(22/ブラジル/シャバブ・アル・アハリ・ドバイ)
  • FW イゴール・ジェズス(21/ブラジル/シャバブ・アル・アハリ・ドバイ)
  • FW カイオ・ローザ(21/ブラジル/アル・シャールジャ)

もちろん、現在のUAEフットボール界は自国タレントの育成を諦めたわけではない。ほぼ全てのクラブがアカデミーを保有しており、かつてセビージャや北京国安などでプレーした元マリ代表FWフレデリック・カヌーテ(44)がドバイに設立した「カヌーテ・フットボール・アカデミー」などクラブ以外でのスクールの設立も相次いでいる。

ただそれでも海外選手を上回るタレントの継続的な輩出は難しいと言わざるをえない。ロンドン五輪に出場したオマルやFWアーメド・ハリル、アリー・マブフート(ともに31)ら「黄金世代」の後のタレントは育たず、その低迷が定住者枠の緩和に繋がったと考えられても仕方がない。それほど現在のUAEサッカー界は強い危機感を持っているのだ。

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話を戻すが、今回シャバブ・アル・アハリ・ドバイに加入したDFレナン・ダ・シルヴァは現地メディアから「居住者枠史上最高のタレント」と言われている。

彼や他の外国籍選手達が日本代表の前に立ちはだかるのはまだ先の話になるが、今のうちに耳に入れておいても良い話であるのは確かだろう。アジアサッカー界に今、大きな波が押し寄せようとしている。

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