UAEは7つの首長国からなる連邦制国家だ。人口は約1000万人いるが、そのうち「UAE人」と言われる人々は約10%弱しかおらず、残りの人々は移民としてUAEにやってきた人々である。

移民を含めたUAE人以外の人々が市民権を獲得するのは非常に困難なことで知られている一方、その豊かな石油資源からもたらされる経済的利益に支えられ、移民の定住率は世界的に見ても高いと言われている。

例えばかつてUAE代表のエースとして日本代表を苦しめたMFオマル・アブドゥラフマン(30)は、サウジアラビアで生まれ育ったイエメン系の移民である。

※近年は度重なる負傷に苦しんでいるオマル。今シーズンは心機一転、アル・ワスルFCへ移籍。悩める天才は復活なるか。

さて、UAEリーグにおける自国選手は「UAE出身の者」「UAEのパスポートを持っている者(※主に移民)」「UAEに住んでいる女性の子供(※主に移民)」と定義されているが、その他に海外にルーツを持つ選手で、UAEでの定住を目指すプレーヤーに適応される「定住者枠」が別として存在する。

定住者枠は過去3年以上のUAE在住要件を満たした外国籍選手に適応され、主に言語が同じエジプトやモロッコを中心としたアラブ圏の選手に適応されていた。

しかし、2019年に定住者枠の要件が改訂され、「3年以上のUAE在住」要件が撤廃された。これはつまり、まったくUAEに来たことのない海外の外国人選手を3年契約で獲得し、「定住者枠」として登録することが可能になったということだ。

以降、UAEのクラブがブラジルを中心とする南米地区の若手選手をこぞって獲得する事態が起きた。UAEリーグの外国籍枠は試合に5人のみ登録可能なほかは特に保有上限を設けていないため、現在に至るまで外国籍選手の「超青田買い」が起きている。