2010年12月、アメリカのミネソタ州ミネアポリスで起こった大きな事故があった。
メジャーリーグ・ベースボールのミネソタ・ツインズや北米サッカーリーグのミネソタ・ストライカーズ、NFLのミネソタ・ヴァイキングスが使っていたスタジアム「メトロドーム」の屋根が、大雪によって倒壊したのである。
メトロドームは1982年にオープンしたもので、グラスファイバー製の生地を空気圧で膨らませることによって屋根を形成させるというシステムを採用した世界3番目のドーム型スタジアムだった。
そしてこのシステムやデザインは1988年に日本でオープンした東京ドームに大きなインスピレーションを与えており、屋根を形成しているシステムも同じものが踏襲されている。
その会場が悲劇に見舞われたのは2010年12月10日の夜から12日にかけて。ミネアポリスには例年にないほど激しい吹雪に見舞われた。
メトロドームは12日の午後に行われるミネソタ・ヴァイキングス対ニューヨーク・ジャイアンツの試合に向けた準備をしていたが、強風のために屋根の雪下ろしができないほどだったという。
そして11日の深夜、放送のための準備に取り掛かっていたテレビ局のスタッフが屋根から水が漏れていることを発見。その模様を撮影するため、カメラをONにしたまま設置していたという。
12日の午前5時頃には屋根が萎みはじめ、パネルが破れてドームの中に雪が降り注いだのである。
この影響によってメトロドームは使用不可能になり、多くの試合が延期、あるいは会場を変更しなければならない状況に。
そして2011年2月にはメトロドームの屋根全体を交換するための工事が開始されたが、その費用は1800万ドル(およそ26億円)に達したとのこと。
修理は半年後に完了したものの、老朽化が進んだスタジアムは2013年に取り壊しが決定。2014年3月にその撤去作業がすべて完了し、屋根の修理からわずか2年半で解体されることになった。
なお、ミネソタ・ツインズは2010年に現在のターゲット・フィールドへと移転し、ミネソタ・ヴァイキングスは2012年に新スタジアムの建設をスタートし、メトロドームの跡地にUSバンク・スタジアムをオープンさせている。
ちなみにUSバンク・スタジアムもドーム型の会場であるが、屋根についてはフッ素系プラスチックのエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)を使用し、軽量かつ太陽光を取り入れられている。
また大雪の際の対処も考えられており、雪を滑らせて加熱させた溝に送り、そのままミシシッピ川に流す構造になっているという。
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