前回優勝のイタリアは離脱者の影響で少々危機的な状態だ。

ここまで主力としてチームを支えていたフランチェスコ・アチェルビ(インテル)、ジョルジョ・スカルヴィーニ(アタランタ)という2人のDFが揃って負傷。アレッサンドロ・バストーニ(インテル)、アレッサンドロ・ボンジョルノ(トリノ)らセリエAで主力としてプレーする選手がいたためダメージは最小限に抑えたが、予選からチームを支え続けてきた2人の離脱によるダメージは少なくない。

ただ、攻撃陣は揃えられるフルメンバーを招集。特に注目が集まるのがジャンルカ・スカマッカ(アタランタ)である。今シーズン公式戦44試合で19ゴール7アシストとキャリアハイの数字を記録。代表では結果の残せない日々が続いているが、機能すればかなり怖い存在になることは間違いない。

イタリアがよく使うフォーメーションは3-4-2-1。中盤はジョルジーニョ(アーセナル)やブライアン・クリスタンテ(ローマ)と守備に定評のある選手や、ニコロ・バレッラ(インテル)、ロレンツォ・ペッレグリーニ(ローマ)とユーティリティ性の高いプレイヤーなどをバランスよく招集している。

中盤でうまくボールを回収できれば自慢のカウンターアタックもしやすくなるため、このポジションのスタメンのチョイスは極めて重要だ。

また、ウィングバックにはオーバーラップに定評があり、正確無比な左足を持つフェデリコ・ディマルコ(インテル)と、質の高いクロスで相手の脅威となれるマッテオ・ダルミアン(インテル)など攻撃にも守備にも重きが置けるような選手を選出。EURO連覇に向けて中盤の底上げに努めたこのチームは果たしてどのような結果を残せるだろうか。

最後に挙げるのは、スコットランドと開幕戦を戦うドイツだ。

昨年9月、日本にホームで屈辱の大敗(1-4)を喫してから、ハンジ・フリックからユリアン・ナーゲルスマンに政権交代した彼らは、今季ブンデスリーガで無敗優勝を達成した司令塔フロリアン・ヴィルツ(レヴァークーゼン)を中心とし、プレーメーカーのトニ・クロース(レアル・マドリー)と得点力のあるイルカイ・ギュンドアン(バルセロナ)や、シーズン中の勝負強さが光ったロベルト・アンドリッヒ(レヴァークーゼン)など中盤を強化。

さらに、ミロスラフ・クローゼ引退後から長年空席となっていたストライカーの位置には、ニコラス・フュルクルク(ドルトムント)に加えてデニズ・ウンダフ(シュトゥットガルト)も招集。今季実績を残したストライカーを加え、常勝国の名を取り戻しにいく。

こちらも4-2-3-1のシステムが主流。ナーゲルスマン監督就任以前は、前線でターゲットになる選手がいないためなかなかシュートまで持ち込めない場面が多かった。ただ、そこに至るまでの展開は良く、ジャマル・ムシアラやルロイ・サネ(ともにバイエルン)の仕掛けもターゲットがいればしっかりと活きてくるだろう。

このメンバーで自国開催のEUROを勝ち取ることができれば、2大会連続でグループステージ敗退となっているワールドカップに向けて大きな自信となるはずだ。

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他にも、神童ラミン・ヤマル(バルセロナ)を要するタレント集団スペインや、ケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)を攻撃の中心とし初の欧州制覇を目指すベルギー。セリエAで活躍するフヴィチャ・クヴァラツヘリア(ナポリ)を中心とし、ジャイアントキリングが期待されるジョージアなど注目チームはとても多い。

果たして今大会、頂点に輝くのはどのチームなのか。欧州最強を決める戦いが今、幕を開ける。

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