アルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデスらがフランス代表に対して“人種差別的”ととられるチャントを歌っていた映像が物議を醸している。

エンソらはコパ・アメリカ優勝後のチームバスで「フランスでプレーしているが全員がアンゴラ出身。母親はナイジェリア人、父親はカメルーン人、でもパスポートには『フランス人』」と歌い、アフリカ系の選手が多いフランス代表を嘲笑した。

フランスやヨーロッパではエンソに対する非難が集中しているが、エンソの母国アルゼンチンではこれに反発する声も根強い。

同国のレジェンドであるハビエル・マスケラーノ(U-23代表)監督は「冗談として理解していた内容が他の国では誤解されることもよくある」と話し、代表のチームメイトであるMFロドリゴ・デ・パウルも「誰かが、あるいはエンソの同僚が気分を害した場合、SNSに載せるのではなく話すのが最善策だと思う。そこには少し悪意がある」と擁護した。

そんな中、同国の国家スポーツ次官を務めるフリオ・ガロ氏がこの騒動に対する発言を巡って17日に追放されたようだ。

ガロ氏は「代表チームのキャプテン(メッシ)もAFA(アルゼンチンサッカー協会)会長と同様に表に出てきてあの件について謝罪すべきだと思う。栄光のあとに(騒動は)国として我々を悪い立場に置くもの」と発言し、協会の会長とキャプテンを務めるメッシに謝罪を要求した。

ディエゴ・マラドーナは神様として称えられたが、メッシもまた国内では同様の存在。絶対的な英雄に対するこの発言は、政府の逆鱗に触れたようだ。

発言はすぐに拡散され、数時間後には大統領府が「いかなる政府も、世界王者でありコパ・アメリカを2度優勝したアルゼンチン代表チームに対して、何かを言い、何かを考え、何をすべきか指示することはできない」と綴り、ガロ氏の退任を発表した。

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アルゼンチンは現在、“アルゼンチンのトランプ”と呼ばれるハビエル・ミレイ氏が大統領を務める。政権内では副大統領を務めるビクトリア・ビジャルエル氏も18日に「偽善者たちよ、憤慨していることを装うのはもうやめろ」と今回の騒動でむしろヨーロッパ側を糾弾している。

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