JリーグのFC東京は7月30日、海外チームへの移籍を理由にチームを離れることが発表されていた松木玖生のプレミア1部サウサンプトンへの完全移籍と、2024-25シーズンのギョズデペSK(トルコ)への期限付き移籍を発表した。
松木はクラブを通じて次のようなメッセージで感謝の思いを綴った。
「まず、シーズン中にも関わらず、自分の挑戦を後押ししていただいたクラブのみなさま、チームメイトに感謝しています。東京では、2年半本当に多くのことを学ばさせていただきました。この2年半、自分は本当に幸せでした。
東京での様々な経験を活かし、これからも自分らしくチャレンジしていきたいと思います。これからも東京のことをずっと応援していきますので、自分のことも応援していただけたら嬉しいです。
本当にありがとうございました!」
“壮行試合”となった7月13日のアルビレックス新潟戦(国立)で「FC東京で一番活躍した選手になる」と更なる飛躍を誓った21歳は、満を持して欧州でのキャリアを歩み始めることとなる。
「サポーターと分かり合えた時間は忘れない」
国立競技場でのJリーグ最多となる5万7885人が訪れた13日の試合は、前半6分に左サイドをドリブルで持ち込んだ遠藤渓太のゴールで先制点を奪うと、自陣に押し込まれて苦しい時間帯が続いた後半33分には「(松木と)一応同期なんで……」と謙遜気味に話す野澤零温のJ初ゴールが決まり、FC東京が2対0で勝利を収めた。
「零温が頑張っていた姿も近くで見てきましたし、試合にも勝つことができた。これで自分も気持ちよく海外に行けるかな」と試合後に語った松木は後半16分に途中出場。後半18分にはゴールこそ奪えなかったものの、FKで見せ場を作るなどチームの攻撃に変化をもたらした松木は、「皆さんと分かり合えた時間を忘れることはない」とゴール裏に集ったサポーターの前で、感謝の思いを述べた。
青森山田高校時代には3年連続で全国高校サッカー選手権に出場し、高校3年時には主将としてチームを率いて高校3冠を手にした松木は、“鳴り物入り”でFC東京に入団。1年目から定位置を掴み、2年半の間にリーグ戦71試合に出場して5得点をマークした。
「もしFC東京に入っていなければ、自分は試合に出られなかったと思います。アルベル監督が1年目で開幕戦でスタメンに使ってくれて、ピーター・クラモフスキー監督に至っては僕をキャプテンに任命してくれた。自分のサッカーキャリアの中でも良い経験をさせてもらいましたし、これは必ず次に生きてくるんじゃないかと思う」とクラブへの感謝の思いを語った松木は、3年目の今季は主将としてチームを牽引。「いい時も悪い時も、主将としてチームをまとめるのはすごく難しかったですが、 本当に色々な先輩たちや後輩のサポートしてくれて、ここまでくることができました。この経験は必ず次に生きてくると思う」と、自身の成長への確かな手応えも掴んだ。
「優勝を勝ち取りたいと思っていたので、主将という立場でありながら、シーズン途中に海外チームに移籍してしまうことへの心残りはありますが、自分が決めた道を信じて貫きたい。 “FC東京で1番活躍した選手”と言われるようになりたい」と、“FC東京ファミリー”の前で決意を語った松木は、これから始まる「本当に自分との戦い」に闘志を燃やす。