Qolyアンバサダーのコラムニスト、J1全部見るマンによるレポートをお届けします。

攻守において、復調の兆しがあるコンサドーレ。前回の記事▼に引き続き、今回は「トランジション」の変化について触れてみますので一読頂けると幸いです!


 「らしさ」を取り戻しつつある北海道コンサドーレ札幌。残留を狙うための「攻撃の変化」とは?
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機能するネガティブ・トランジション

コンサドーレが最も苦しんでいたと言っても過言ではない局面。それがトランジションの局面です。

サッカーというスポーツは連続してプレーが行われるスポーツ。だからこそ、攻撃⇨トランジション⇨守備をぐるぐる循環します。そしてコンサドーレは攻撃に比重を置くチームです。ここの攻撃の基盤が崩れてしまうとやはり循環が崩れてしまいます。この前提が総崩れ

したことによってコンサドーレは常に攻撃を受け続け、最終ラインが晒されて、攻撃にも移れず、守備も苦しい状況に陥ってしまいました。

しかし攻撃の安定感を取り戻したことにより、トランジションの局面、特にネガティブトランジションが機能するようになりました。

ではトランジションが機能しなかったのか、そしてなぜ機能するようになったのかを考えてみます!

なぜ機能しなかったのか?

まずはこれを考えていきます。結論から述べると『中盤の空洞化』が大きく関係しています。この空洞化が引き起こってしまっていた理由として、やはり前進の部分に問題がありました。

ではどのような問題があったのか、この詳細について触れていきます。

まず1つ目に『相手に影響を与えられていない状況下での可変』です。ビルドアップにソースを割き過ぎていたので、中盤の人数が足りない状況になることが多々ありました。

コンサドーレはトランジションの機能不全が発生している時はプレスラインの手前に降りることが多くなることが多くなっていました。だから対戦相手からすると1stプレスラインの手前に降りる選手たちをある程度放置しながら、中央を消すことによって容易に守備を完結させることができていました。

この『影響を与えれない状況下での可変』がトランジションの機能不全に繋がっていた1つ目の理由です。


次に2つ目が『最終ラインに張り付くことによる分断』です。3トップと可変によって高い位置を取るWB。この5枚が対戦相手の最終ラインに張り付くことが多くなっていたので、1つ目に述べた空洞化が起きてしまっていました。

そしてこれが起こると、最終ラインからの供給が難しくなります。受け手はマーカーに捕まっている状態になるので、守備側の方が優位に対応に入ることが可能になっていきます。さらに「勝てていない」というメンタル的な部分も働いて、アタッカー陣は背後へ抜け出すプレーが多くなっていました。これによって『前後の分断』が引き起こっていました。


そして3つ目が空洞化と分断による『サポートの少なさと迎撃』です。前後分断による空洞化により、対戦相手の最終ラインに張り付く5枚がボールを引き取るために列を落とすことが多くなっていきます。

この時に中央がぽっかりと穴が空いているので、引き取ったとしてもサポートがない状況になります。守備側からすると、逃げられることがほとんどなくなるので、迷いなく思いっきり対応を行うことができるようになっていました。

この3つが綺麗につながってしまい、ネガティブ・トランジションに入ることができなくなっていました。ネガティブ・トランジションが機能しないので、多くの時間帯で攻撃が頓挫してカウンターを受け続けることが多くなっていました。

しかし攻撃の局面が一気に改善して安定したので、きちんとトランジションに入ること、トランジションが機能するようになっていきます。ではなぜトランジションが機能するようになったのかを考えていきましょう。

なぜ機能するようになったのか?

先ほども触れたように、この大きな理由として攻撃の安定性を手に入れたことにあります。そして『中盤の空洞化』と『前後分断』を解消したからこそ、トランジションが機能するようになっていきます。何度も触れるように、フットボールというスポーツはプレーの連続性によって成り立っています。だからこの連続性を無視してプレーすること、チームを作っていくことは不可能に近く、どこかの局面で機能不全を起こしてしまうと総崩れしてしまいます。

そこでです。コンサドーレはまず崩壊していた攻撃の局面に手を施しました。それがビルドアップに割くソースの人数と対戦相手への影響です。ここがチームとして共有されたからこそ、トランジションが機能するようになっていきます。ではなぜここが整理されると機能するようになるのかについて考えていきます。

まず1つ目に、相手を動かすことができているからです。そもそも対戦相手に影響を与えれていない状況、もう少し丁寧に触れると相手を動かせていない状況で前進をしようとすると『整った状態』で対戦相手はポジティブ・トランジションに入ることが可能になります。そこでコンサドーレは影響を考えながらビルドアップを行うようになったことにより、トランジションに入った瞬間に『相手の態勢を崩している』状態を作り出すことができるようになっています。こうなると、対戦相手はポジティブ・トランジションの効力が下がり、一方で自分たちのネガティブ・トランジションの効力は上がってきます。

ここの相手を動かすことを意識するようになったことが大きく変わり、トランジションが機能するようになった理由だと思います。

次に2つ目に中盤の空洞化がなくなったことです。これは1つ目の相手を動かすことに関係しているのですが、前進の影響を考えながらプレーを選択するようになっているので中盤の空洞化が少なくなっていきます。だからビルドアップ時の4−1の土台が少なくなり、3−2の土台が多くなっています。だから中盤に今までは1枚しかいなかったのでですが、CHがバックラインに降りる回数が減った(影響を与えずに降りることが減った)ことによって、2手先のサポートとトランジションに割く人数を揃えることができるようになりました。これによって狙われていた迎撃を避けることができるようになっていきます。たとえ迎撃を受けたとしても、きちんとサポートを行えているので逃げ道があること、そして奪われたとしてもそのまま対応ができることが可能になっています。

最後に3つ目。これがSTのヘルプのタイミングと背後の棲み分けです。これも中盤の空洞化を防ぎ、対戦相手に影響を与えることでトランジションを優位に進める大きな効力となっています。いわゆる手前と背後を作り出すことができるようになったので、相手の状態を崩すこと、繋がりを薄くすることが可能になっていきます。

それを作り出すのがSTのDFラインからの離れ方です。特に青木選手が復帰してからはこれが頻繁に行われるようになっていきます。だからこそ安全に前進ができるようになり、またCHの選手がトランジション時の有効なポジションを取れるようになっています。

コンサドーレは主にこの3つを改善し、そして手に入れたためトランジションが機能するようになったのではないでしょうか。攻守が循環していくサッカーというスポーツ。ここの繋がりができているからこそ、コンサドーレは残留に向けて一縷の希望が見えてきているのではないでしょうか?

Nobuya Akazawa|J1全部見るマン|
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