指揮官が迷うほどの逸材

力強く試合を振り返る品田だが、ここまでは決して順風満帆な道のりではなかった。J1のFC東京から期限付き移籍で千葉に加入した背番号44は今季千葉でのリーグ戦先発出場は8試合にとどまっており、個人としてもゼロゴール2アシストと物足りない結果だった。しかしそれでも折れずに、練習後は何人も倒れ込むほどのハードなトレーニングのなかで個人のクオリティを出し続けたことが結果につながった。

指揮官は「愛斗はずっとトレーニングからやってくれている選手の一人で、使いたいと思っていた。ただ本人にも伝えていますが、中盤では泰士(MF田口泰士)と祐介(MF小林祐介)とMFエドゥアルドがいる中で、自分が上回っているところをトレーニングから見せてほしいという競争がありました。彼はトレーニングから特徴を出していましたし、1番のところはゲームを動かせる選手だと思っています。ゲームの流れをうまく読みながら、攻守ともにチームを支えられる。あとは運動量もありますし、きょうのフリーキックのようにキック精度もある。トータルで優れた選手ではあるので、毎回メンバーを決めるたびに迷っているような選手です」と品田を評価し、メンバー選考における悩みを明かした。

得点後に抱擁するMF岡庭愁人(左)とMF品田愛斗(中央)

品田は得点後、同じくFC東京から期限付き移籍で千葉に加入し、この日も右サイドハーフで先発していたMF岡庭愁人と抱擁を交わした。

「愁人がずっと『こっから、こっから!』と言っていた。最後の最後まで(抱擁を)待っていてくれたんじゃないですか。愁人もリーグ戦で結果を残しているので、そこはお互いに刺激になっていると思います」と二人は高め合う存在だ。岡庭にとっても、この日はJ2第23節清水エスパルス戦(0-2)以来のスタメン出場。J1相手に十分通用することを示した二人はここからレギュラーに返り咲きたい。

ジェフユナイテッド千葉がいわきFCに0-3で敗北。J1復帰に向けて求められるメンタルの立て直し

札幌相手に見事な勝利を掴んだ千葉だが、ほっと息をつく暇はない。試合後中3日で迎える試合は「1番大事」と位置付けるリーグ戦第28節ベガルタ仙台戦だ。札幌戦で得た自信を武器にホーム2連勝を飾りたい千葉。J1復帰への闘いは「こっから」だ。

(撮影、取材・文 浅野凜太郎)

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