サッカーのアウェイゲームは、ホームスタジアムでの試合とは一味違った特別な体験ができる。
遠く離れた街で繰り広げられる試合は、ときには地元の文化や雰囲気に触れる貴重な機会だ。
愛するチームの勝利のために大声で応援し、道中の困難を乗り越える瞬間はサッカーの醍醐味を一層引き立てる。
しかし、世界は広い。国内リーグであっても、アウェイゲームを観戦するために何千kmも移動をしなければならないリーグもある。
今回は国内リーグに限定し、実際に開催された2クラブ間の距離が遠い試合について紹介する。
※距離はGoogleマップの距離測定を使い、ホームスタジアムから相手ホームスタジアムまでの直線距離を測定した。
北米の大国はスケジュールも忙しい
アメリカ
インテル・マイアミvsバンクーバー・ホワイトキャップス(4479km)
北アメリカ大陸の中央部に位置するアメリカ合衆国は経済・産業・文化で世界をリードする名実ともに世界有数の超大国だ。
アメリカはバスケットボールやアメリカンフットボール、野球などが国民的なスポーツとして有名だが、近年は急成長を果たしている同国のプロサッカーリーグ、MLS(同国1部)の注目度が増している。
同リーグは全29クラブが東西の2つのリーグに分かれ、同一カンファレンスとはホーム・アンド・アウェイ方式でリーグ戦を実施している。
別カンファレンスとは1回総当たりで対戦する。
各カンファレンスで上位の9クラブ、全18クラブが「MLSカップ」という決勝トーナメントで全米一を決定する。
代表ウィーク期間中も時折リーグ戦が行われることもあり、試合数が多い上、移動距離が非常に長い世界的に見てもハードなリーグだ。
別カンファレンスのクラブの対戦になると3000km以上の長距離移動が発生する場合がある。
中でも元J1横浜F・マリノスの日本人GK高丘陽平が所属するバンクーバー・ホワイトキャップスは、カナダから越境参加しているクラブの一つで、同リーグで最も年間の移動距離が長い。
アメリカの東南部フロリダ州にはアルゼンチン代表FWリオネル・メッシが所属するインテル・マイアミは本拠地にDRV PNKスタジアムを構えており、バンクーバー・ホワイトキャップスのホームスタジアム(BCプレイス)から4479km離れている。
また今シーズンのホワイトキャップスはMLSに加え、カナダに本拠地を置くクラブが参加するカナディアン・カップと、MLSとリーガMX(メキシコ1部)のクラブで優勝を争うリーグスカップを戦った。
そのため、今年5月にはバンクーバーから中2日でカナダ・アルバータ州のスプルース・メドウズへ行き、中3日でロサンゼルスへ移動。その後、中3日でコロラドへ移動する非常に厳しいスケジュールをこなした。
カナダ
パシフィックFCvsHFXワンダラーズFC(4485km)
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— Pacific FC (@Pacificfccpl) November 1, 2024
世界で2番目に国土面積が広い国であるカナダは、その広大な国土の中にロッキー山脈やナイアガラの滝などの広大な自然を望める。
カナダのプロサッカーリーグ、カナディアン・プレミアリーグ(同国1部)は2019年に発足した新しいリーグだ。
同リーグは、同国の10州のうち5州から全8クラブが参加している。
レギュラーシーズンで計28試合を行い、最終的には1位から5位までがプレーオフに進み優勝を争うレギュレーションとなっている。
今後は昇降格制度の取り入れを目指しており、北米のスポーツリーグの中で革新的な動きを見せている。
同リーグの中でも、アメリカの西部ワシントン州に近いブリティッシュコロンビア州の南西部ヴィクトリアをホームとするパシフィックFCと最東端のノバスコシア州ハリファックスのHFXワンダラーズの本拠地の距離は非常に離れている。
その距離は4485km。
東京からカンボジアの首都プノンペンまで到達できる距離だ。
両クラブの選手たちは7時間半のフライトでアウェイの地へ遠征しているが、過去には実際にHFXワンダラーズのサポーターがヴィクトリアへ陸路で移動した事例もある。
カナダの5つの州とアメリカの7つの州を経由し、2カ所の国境検問所を通る過酷なドライブは、ハリファックス出発からヴィクトリア到着まで58時間を有したという。
因みにパシフィックFCには今年、元日本代表MF中村憲剛(元J1川崎フロンターレ)がS級コーチ養成講習会の海外研修プログラムを受けるために訪れていた。