2.海外移籍後は同国内移籍でも連帯貢献金は発生

これは本当によく誤解されている。

なんなら私も過去、誤解していた。

★誤った具体例

伊藤洋輝は2024年にシュトゥットガルトからバイエルン・ミュンヘンに3,000万ユーロ(約51億円)で移籍した。

その時、ドイツからイタリア等への移籍ではなく、同じブンデスリーガ内での移籍のため、「海外移籍ではないから連帯貢献金は発生しない。ジュビロ磐田に振り込まれない」と誤解していた。

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しかしFIFAの規程では「プロ選手が同じ協会に所属するクラブ間で移籍する場合(ただし、育成クラブが異なる協会に所属している場合)」連帯貢献金を受け取る権利があると明記されている。

同じ協会内のクラブで移籍したとしても(ドイツ間)、その選手の“育成期間”の所属クラブが異なる協会(日本)である場合なら、連帯貢献金は発生する。

★具体例

伊藤洋輝の場合、ジュビロ磐田U-15、U-18、磐田トップチーム、名古屋グランパスに在籍していたがいずれも日本サッカー協会。ドイツ・ブンデスリーガ内での移籍とはいえ「選手の“育成期間”の所属クラブが異なる協会」に合致するため、連帯貢献金発生となる。

事実、地元紙・静岡新聞の記事では「磐田ユース出身、伊藤洋輝の移籍金で古巣に還元される約2億円は、下部組織強化のために充てようとする動きもある」との記載がなされた。

FIFAの規程通り、磐田は連帯貢献金として約2億円を手にする。

他にもエビデンスはあり、例えばJリーグクラブに移籍してきたブラジル人選手が、Jリーグ内での国内移籍した場合にも連帯貢献金は発生している。

★具体例

ジュビロ磐田からジェフユナイテッド千葉に移籍したドゥドゥ・エドゥアルドのケースがそうだ。

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彼は2024年、千葉に約7,000万円の移籍金で磐田から移籍。Jリーグ内の移籍であるため、他のクラブは関係ないかと思いきや、ドゥドゥの育成期間に属していたブラジルのクラブ、ヴィラ・ノヴァに連帯貢献金が発生した旨がブラジルメディア側で報じられた。

日本サッカー協会の中でのJ2間移籍だが、「選手の“育成期間”の所属クラブが異なる協会」に合致するため、ブラジルのクラブにとっては連帯貢献金発生となる。

スコットランドからイングランドへ移籍した場合は?という疑問に対する答えもまさにここであり、例えば日本人選手がセルティックからマンチェスター・シティに移籍した場合でも同じイギリス国内とはいえサッカー協会は別であるため(イギリスは1つではなく4つのサッカー協会が存在)、連帯貢献金は発生する。

もちろん、Jリーグ内での国内移籍をした日本人選手の場合では連帯貢献金は発生しない。あくまで海外移籍後の話に適用されると認識していただきたい。

次回の後編ではどのようにしてクラブや学校法人に振り込まれるのか等について記載していく。

筆者:中坊

1993年からサッカーのスタジアム観戦を積み重ね、2024年終了時点で997試合現地観戦。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。日本国外の南米・ヨーロッパ・アジアへの現地観戦も行っている。

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