サポーターへ最高の恩返し
この試合後、ヒーローインタビューを受けた昌子は、涙ながらにサポーターへ感謝の気持ちを伝えた。
今年8月31日に行われたJ1川崎フロンターレとのアウェイゲームで、町田は5失点を喫して敗れた。
粘り強い守備が持ち味の町田らしからぬ大量失点での敗戦に、守備の要であり、チームの主将の昌子は打ちひしがれたという。

サポーターの声援を聞き、涙を流す昌子
「5失点して、もう下を向き…もう向いてたかな。そういうときでも『顔上げろ』って言うサポーターの皆さんの光景が本当に忘れられなくて。その瞬間に本当に思ったんですよね。どちらかと言うと、自分のため、チームのため、家族のためが大半を占めてしまうところがあったけど、(サポーターの)皆さんのためにやらないといけないんだと」
昌子は決勝進出が決まった直後から、天皇杯の決勝が、苦しいときに自身を支えてくれたサポーターに恩を返す絶好の機会になると考えていた。
そして、見事にサポーターへ天皇杯のタイトルを届け、想いがあふれた。
「泣くつもりはなかったんですけど(笑)。でも、メイン(スタンド)の人たちが『昌子ありがとう』と言っていたのが聞こえて、うれしかったですね」

クラブ初タイトルとなった天皇杯のトロフィーを掲げる昌子
町田はクラブ創設36年にして、ついに栄冠にたどり着いた。
町田の背番号3は「これでチームとして一つ、大きな基準ができた」と胸を張る。
昌子が示した勝者の姿勢は、クラブの新たな時代の始まりを告げている。
取材・文 縄手猟、写真 浅野凛太郎
