2024年のJ2プレーオフを勝ち抜き、初のJ1昇格を果たしたファジアーノ岡山。初挑戦となったJ1で13位と残留を成し遂げ、シーズンを終えた。
その岡山は、15日に守護神スベンド・ブローダーセンが川崎フロンターレへ完全移籍することになったと発表した。
ブローダーセンは28歳のドイツ人GK。ドイツのザンクトパウリでプロになった後、2021年に横浜FCへ加入、2024年からは岡山でプレーしてきた。
大の親日である彼は、家族で岡山城を訪れた際の写真をSNSに投稿し、日本語でこのようなメッセージを綴っていた。
「この写真は、約2年前に岡山で初めて撮ったものです。当時は、この場所が僕や家族にとってどんな意味を持つことになるか、まったく想像もできませんでした。
スポーツの挑戦に加えて、ハイテクが発達した横浜・東京の大都市圏から離れて、『本当の』日本を知りたいという願いがありました。
まず目を引いたのは、古い住宅の伝統的な建築様式と、街から少し離れた、ほとんど手つかずの自然でした。
しかし、それ以上に私の心を打ったのは、近隣住民や小さな小売店、レストランの人々の親切さと温かさでした。ここでは、多くの素晴らしい出会いと友情が生まれました。私の家族と私に対して示された思いやりと心温かな対応には、到底お返しできるものではありません。
とにかく、私はサッカーのピッチでその恩返しをしようと努めました。そして、チームメイトたちと一緒に、岡山の人々に多くの思い出に残る瞬間を贈ることができたことを、心から感謝しています。そうして、娘の最初の言葉の一つは『ファジアーノ』となり、彼女はよく「桃太郎』の歌を歌っていました。
今年、私たちの2人目の子供が、政田にある練習場からほど近い岡山で生まれました。これにより、私たちの家族がこの地に根を下ろすことが決定的となりました。
しかし、それ以上に決定的だったのは、家族と一緒に、あるいはアウェイゲームの後、岡山駅に到着し、街を歩いて自宅に戻るたびに私を襲ったこの感覚です。それは、本物の『家』だけが与えてくれる、心地よい感覚でした。
それは、さまざまな強い感情が入り混じった、安心感という、表現し難い感覚でした。自分が今いる場所に、まさにいるべきだと感じる感覚です。
将来、ファジャーノが何度も優勝を果たした後、歳をとった私は再び岡山の通りを歩き、まさにこの感覚に再び包まれることでしょう。」
ブローダーセンは岡山での2シーズンで77試合に出場するなど守護神として活躍。家族を含めて岡山で受けた温かいもてなしに心から感謝しているようだ。
彼は岡山の公式サイトでも「クラブ全体が常に温かく私を支えてくれましたが、特にチームメイトには感謝しています。(中略)。この素晴らしいチームを離れることは容易ではありませんでしたが、サッカー選手のキャリアはそれほど長くはありません。だからこそ、もう一度トロフィーを勝ち取るチャンスをつかみたいと思ったのです。もちろん、岡山にも将来そのチャンスがあると思いますし、そう願っています!心の底から、皆さんには永遠に感謝し、決して忘れません!」と綴っている。
今シーズンのJ1で8位だった川崎は、40歳の韓国人GKチョン・ソンリョンが契約満了で退団し、35歳のGK安藤駿介は引退。
ブローダーセンは川崎の公式サイトでこのような意気込みを語っている。
「まず、このクラブが今日のような存在になるために多大な貢献をされた、チョン・ソンリョン選手と安藤駿介選手に感謝の意を表したいと思います。
そして、この機会を与えてくださったクラブ関係者の皆様に、深く感謝いたします。私に関心を寄せてくださるなかで、クラブの目標達成のために私が不可欠であるという熱意を感じ取ることができました。
私の弟が、日本で開催された国際ユースサッカー大会の一環として、川崎フロンターレと清水エスパルスのJリーグの試合を等々力陸上競技場で観戦したのが、川崎と私の最初の接点です。その圧倒的な雰囲気について話してくれ、それがきっかけで、私は日本のサッカーに興味を持つようになりました。ですから、今、このクラブでプレーできることは、ある意味で運命のように感じます。」
弟であるレオナルド・ブローダーセンもサッカー選手で、水戸ホーリーホックでプレーしたこともある。
筆者:井上大輔(編集部)
