シフトプラス株式会社が7月8日に提供を開始した、サッカー選手とクラブを直接つなぐサービス『KickLink(キックリンク)』。人脈に依存しがちな移籍市場へ新たな選択肢を提示するこのサービスは、どのような課題意識から生まれたのか。
今回、『KickLink』の開発を担当した元Jリーガー・吉崎弘宣氏に話を聞いた。元選手の立場だからこそ見えてきたサッカー界の現実と、新サービスに込めた思いを語ってもらった。

元Jリーガーだから分かる「選手の苦労」
開発を担当した吉崎氏は、ヴィッセル神戸の強化指定選手を経て、ガイナーレ鳥取、MIOびわこ滋賀(現レイラック滋賀FC)、アルテリーヴォ和歌山、ヴェロスクロノス都農でプレーした元GK。自身の経験がKickLinkの設計思想に大きく反映されている。
「選手とチームをつなぐ情報提供プラットフォームを作りたいと思いました。選手はプロフィールやプレー動画を掲載し、チームがそれを見て、気になる選手がいれば直接つながる。出会いの場に特化したサービスです」

選手時代の吉崎氏
一方で、JFAの規則には十分配慮した。
「エージェント活動はしません。仲介や斡旋、契約交渉も行わず、あくまでも選手とクラブが出会う場に集約しています」
JFAのルールを尊重しながらサービスを設計し、“出会いのプラットフォーム”という立ち位置を明確にしている。
「代理人がいない選手」にこそ届けたい
KickLinkが最も力になりたいのは、必ずしもJリーグのスター選手ではない。
代理人がおらず、自ら次の所属先を探さなければならない選手たちだ。
吉崎氏自身も、その一人だった。
「自分も代理人を付けている選手ではありませんでした。移籍先を探す時は、知り合いや元チームメイトに『キーパー探してない?』と連絡するしかなかった。その時間や労力はすごく大きかったですね」

だからこそ、自分を直接アピールできる場が必要だった。
「発信できる場所があれば、もっとサッカーに集中できる。時間の使い方も良くなると思っています」
現在でもSNSでプレー動画を公開し、所属先を探す選手は少なくない。しかしKickLinkでは、閲覧するのはクラブ関係者が中心となるため、より実践的なマッチングが期待できる。
さらにメッセージ機能を備え、強化担当者との直接のやり取りも可能だ。
吉崎氏は「決定権を持つ人に直接見てもらうのが一番早い」と、その意義を強調した。

地域クラブにも大きなメリット
恩恵を受けるのは選手だけではない。
地域リーグやJFLクラブでは、限られた強化費の中で全国をスカウティングしなければならない。
「九州のクラブが東北や関東の選手を見に行くだけでも交通費や宿泊費がかかります。KickLinkがあれば候補選手を事前に絞り込めるので、スカウト業務を効率化でき、コストも抑えられます」
動画やプロフィールを見た上で練習参加や視察につなげられるため、これまでよりも効率的な補強が可能になるという。
また、サービス開始当初は選手・クラブとも無料で利用できる。
「まずは使ってもらうことが大事だと考えています」

Jリーグだけがサッカーではない
KickLinkが描く未来は、単なる情報提供プラットフォームにとどまらない。
日本サッカーの魅力はJリーグだけではないと語る。
「日本にはJリーグ以上にたくさんのクラブが地域に根付いていると感じました」
そして、選手たちにはもっと多様なキャリアがあっていいという。
「Jリーグを目指すことももちろん素晴らしい。でも、地域で働きながらサッカーを続ける人生もすごく楽しいんです」
地域リーグのチームでは、農業を手伝いながらプレーする選手もいるという。
「ホームゲームになると、農家の方々が応援に来てくれる。サッカーのルールは詳しくなくても、選手とのつながりがあるから応援してくれるんです」
地域に根差したクラブだからこそ生まれる温かな関係。その価値をもっと多くの選手に知ってほしいという思いが、KickLinkには込められている。

人脈だけに頼らず、実力や可能性によって新たな挑戦の場を得られる環境をつくる――。元選手としての経験がKickLinkは、日本サッカーの新たなインフラとなる可能性を秘めている。
■KickLink 選手とチームをつなぐマッチングサイト
https://kicklink.jp/
筆者:奥崎覚(編集部)
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