近年豊かな資金力で話題を集めているサウジアラビアサッカーが、さらなる大きな転換点を迎えているようだ。
『VI』によれば、サウジアラビアはアル・ナスル、アル・ヒラル、アル・イティハド、アル・アハリという国内を代表する4クラブについて、これまで非営利団体が保有していた25%の株式を政府系ファンドであるPIF(公共投資基金)へ移管する手続きを開始したという。これによって4クラブは、将来的に株式の100%を民間投資家へ売却できる形へ移行することになる。
2023年に始まったサウジアラビアの「スポーツクラブ投資・民営化プロジェクト」では、PIFが4クラブの株式75%を取得し、大きな投資を行った。しかしながら、残る25%はそれぞれのクラブに設置されていた「サポーターによる非営利団体」が保有する仕組みになっていた。
しかし今回、その25%についてもPIFへの移管が始まり、非営利団体の理事会も解散することになったという。スポーツ省は、この変更について「投資対象としての魅力を高め、企業統治を強化し、長期的な持続可能性と成長を支える所有モデルへ移行するための第2段階」と説明している。
つまり、国家が永続的に4クラブを所有するための措置というより、むしろ民間の投資家や会社へ売却しやすい形に整理する意味合いが強いとのことだ。
実際、すでにその流れは始まっており、今年4月にはPIFが保有していたアル・ヒラルの株式70%を、サウジアラビアの富豪アル・ワーリド・ビン・ターラル王子が率いるキングダム・ホールディング・カンパニーへ売却する契約を締結している。
一方、クリスティアーノ・ロナウドが所属するアル・ナスルについても、PIFは外部投資家からの買収提案を検討していると現地で報じられている。
7月にはクラブの負債が8億サウジリヤル(およそ300億円)の規模に達したとも伝えられ、PIFは財務管理を強化しなければならなくなった。そのためスポンサー収入などを増やして支出を抑える改革に乗り出し、新シーズンに向けた補強が可能な状態まで財務状況を整理したという。
サウジ政府が目指している長期的なプロジェクトは、国家資金を投入してスターを集め続けるリーグではなく、民間投資を呼び込み、クラブ自身が商業収入を増やし、独立して運営できる構造へ変えていくことだそう。
これらの改革は、2034年ワールドカップ開催を控えるサウジアラビアの「Vision 2030」の一環でもあり、資金を無制限に投入するだけの経営モデルを抑制する方針を示している。
サウジ・プロリーグは2026-27シーズンからトップチームへの支出をクラブ収入の75%以内に抑える規則も導入しており、ロナウドら世界的スターを呼び込んだ「爆買い」の時代から変貌しつつあるとのことだ。
筆者:石井彰(編集部)
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