日本人唯一のバロンドール投票記者として世界と日本のサッカーを見つめ続けたサッカージャーナリストの田村修一氏が、2026年7月29日に68歳で他界した。

その田村氏が闘病中に執筆に取り組んだ遺作となる電子書籍『成熟の、その先へ——なぜ日本サッカーは世界の壁を越えられないのか』が、株式会社日本ビジネスプレスが運営するデジタルメディア「SYNCHRONOUS」から10月28日に配信開始された。

本書は、田村氏が35年間にわたって追い続けてきた日本サッカーの歩みを振り返りながら、さらなる成長に向けた課題を問い直すノンフィクション。

1993年の「ドーハの悲劇」から現在に至るまで、日本代表は組織力や規律を強みとして発展してきた。しかし、そうした成功を支えた方法論が、次の進化を妨げる要因にもなり得るという「日本化の逆説」を指摘する。

田村氏は、フィリップ・トルシエ元日本代表監督の「フラット3」、イビチャ・オシム氏が説いた「考えながら走る」という言葉の誤解、アーセン・ヴェンゲル氏やエメ・ジャケ氏の決断など、名将たちとの取材経験を通じて日本サッカーの特質を考察。さらに、バロンドールの投票基準から見た選手の個性や、森保一監督の日本代表が掲げる「ジャパンズウェイ」にも切り込んでいる。

本書が一貫して投げかけるのは、「強くなった」という成果に満足せず、自らの成功を疑い続ける必要性だ。

世界の壁は一度越えれば終わりではなく、越えるたびに姿を変える。日本の強みを生かしながら、異なる価値観や個性を受け入れ、既存の基準を更新していくことが求められると説く。

著者の田村氏は1958年、千葉県生まれ。1991年からサッカー取材を始め、フランスの専門誌『フランス・フットボール』にも寄稿した。『オシム 勝つ日本』などの著書でも知られる。

画像: サッカージャーナリスト田村修一氏の遺作『成熟の、その先へ』配信開始 日本サッカーが“世界の壁”を越えるための問い

本書は電子版のみで、価格は税込1320円。SYNCHRONOUSでは発売記念クーポンを利用すると税込1000円で購入できる。

筆者:奥崎覚(編集部)

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