前回、The Reservoirと題し、注目に値する若手選手をピックアップしたが、今回はディフェンダーに限定するのではなく、特定の国にスポットライトを当ててみたいと思う。紹介する国は、タイトル通り、ウクライナである。当国の主役であるA代表は、ギリシャとW杯出場権を賭けてプレイオフを戦うわけだが、仮に彼らが南アフリカの地に降り立つことが出来なかったとしても、未来は非常に明るいだろう。近年、ユース世代の台頭が著しいからである。既にW杯欧州予選で先発出場を飾っているアンドリー・ヤルモレンコ(Andriy Yarmolenko)という超新星に話題が集中した陰で、当世代、またはその下の世代にも宝石達が煌めいているのだ。

現在、U-21欧州選手権を戦い、フランス、ベルギーと並びグループリーグ首位に立つヤルモレンコ世代を中心にポジション毎で評価してみたい。まずは、ゴールマウスに目を向けてみる。実は、A代表ではこのポジションは弱点の一つである。これまで絶対的な守護神であったオレクサンドル・ショフコフスキー(※Oleksandr Shovkovskiy)は故障もあり、スタニスラフ・ボグシュ(※Stanyslav Bohush)とポジションを奪い合っている。ちなみに、このボグシュも代表に選出されてはいるが、全盛期が過ぎた感のあるショフコフスキーからポジションを奪い切れないようでは話にならない。そして、お世辞にも好パフォーマンスとは評価できない彼らを差し置いて、代表正GKの座を掴んだのが、シャフタールに所属する、アンドリー・ピャトフ(※Andriy Pyatov)。ただ、この男も能力面で他のGKを圧倒しているとは言い難く、キャッチング判断が不鮮明で、守備範囲の狭さ、心許ない足下の技術が作り出したピンチは目に余るほどだ。

しかし、A代表とは対照的にユース世代の守護神たちは頼もしい。例えば、現U-21代表正GKである、アントン・カリボロツキー(Anton Kanibolotskiy)は、高精度のパントキック、素早さと飛距離のあるスローイングなど、ディストリビューション(ボールを味方に配給する能力)の質は明らかに先輩達と一線を画す。

さらに、2009U-19欧州選手権で欧州王者に輝いたメンバーの中にはイーゴル・レフチェンコ(※Ihor Levchenko)という大器が控えている。彼のポテンシャルは当世代の中では抜きんでており、カリボロツキー以上のディストリビューションを備えるだけでなく、惚れ惚れするほどの正確なキャッチングと驚異的な反射神経を兼備しており、その特徴は、利き足こそ違うものの、スペイン代表ペペ・レイナ(Pepe Reina)に似ている。現在は、オリンピク・ドネツク(FC Olimpik Donetsk)という国内2部リーグに所属しているが、実力的には1部リーグでも十二分に通用するだろう。

残念ながら、文字数の都合上、ゴールキーパー陣に限定しての話に終わってしまったが、ディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワードについても、近いうちに紹介できればと考えている。

※Oleksandr Shovkovskiy
ウクライナ語では、子音前、語尾のvは「ウ」に近い発音となるが、一般的なロシア語読みに準拠。

※Stanyslav Bohush
ウクライナ語では、子音のhはハ行に近い発音となるが、一般的なロシア語読みに準拠。

※Andriy Pyatov
上記の通りに表記。

※Ihor Levchenko
上記の通りに表記

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