グラウンドレベルの警備員はすぐさま少年に駆け寄り、優しく彼を連れて行こうとした。違法行為に年齢は関係ない、確かにそれはその通りである。しかし次の瞬間、その少年に近寄った人物がいた。

セレソンの新エース、ネイマールである。この試合でもハットトリックを決め、王国の期待を一身に背負う新たなスターは、笑顔でその少年に近づき、少年を抱きかかえ仲間の元へと連れて行ってしまったのだ。

これにはステュワードたちも傍観するしかなかった。なぜなら、ピッチ上の主役である選手たちが少年の侵入を歓迎したからである。

選手たちは、まるでわが子と戯れるかのようにその少年と触れ合った。

ネイマールだけではない。あのダニ・アウヴェスが、オスカルが、ダヴィド・ルイスがフレッヂが少年へと近づき、彼を担ぐ。

かつて、これほど歓迎された侵入者がいただろうか。確かに、今回の行為は少年が純粋な少年であったゆえ許された行為だったかもしれない。しかし、ブラジル代表という世界屈指の集団に流れる陽気な空気が今回の出来事をより微笑ましいものにしたことは間違いない。

ネイマールと少年1

ネイマールと少年2