それでは今大会の注目の選手を紹介していこう。

ホンジュラスといえばかつては中村俊輔とレッジーナでチームメイトだったフリオ・セサル・レオン、ホルヘ・カバジェロ、エドガル・アルバレス、ダビド・スアソらイタリアでプレーする選手が多かったが、今回のメンバーはイングランドとアメリカのクラブに4人ずつが在籍しており、特にイングランドでプレーする選手が核となる。

まず、このチームの中心はロジェル・エスピノサだ。圧倒的な運動量と左足のテクニックが武器で、ピッチを縦横無尽に走るチームの潤滑油でありダイナモ的存在。ロンドン五輪にはOA(オーバーエイジ)で参加しベスト8進出の立役者となり、プレミア行きの決め手となった。最近はチーム事情もあり左サイドを多く任されているが、彼の異次元且つ神出鬼没な運動量と攻撃性能を最大限発揮するためには中央で見たいところだ。

続いて中盤のフィルター役となるウィルソン・パラシオス。元々は攻撃的なMFだったが、現在は圧倒的なパワーと機動力を兼備した高性能のバランサーとして活躍。肉体的なぶつかり合いでは間違いなく世界最高峰のプレミアにおいてもその力は如何なく発揮され、ウィガン、トッテナム、ストーク・シティと3クラブを渡り歩いている。ちなみに5兄弟のほとんどがサッカー選手で、今回メンバー入りしているジェリーは実兄。

パラシオスと共にプレミア開拓の先駆者となったベテランのマイノル・フィゲロア。強靭なフィジカルを持ち、左足から放たれる長距離砲は威力だけでなく精度も高い。FKの際は世界中の視線が彼に注がれるであろう。左サイドバックとセンターバックが本職で親善試合ではボランチも務めたが、本大会はセンターバック起用が濃厚だ。

次はチーム最年長のバジャダレス。前述した2001年コパ・アメリカのブラジル撃破の立役者でもあり、超人的な反射神経と身体能力でホンジュラスのゴールマウスを守り続ける絶対守護神だ。GKとしては小柄でハイボールやクロスボールに難があり、実力的には必ずしも国内最高ではないとも揶揄されるが、大舞台での経験、チームの精神的支柱として彼を外すことは出来ない。そういった意味で元日本代表・川口能活に似たタイプであるかもしれない。

最後は左サイドバックのイサギーレ。俊輔が活躍したスコットランド・セルティックでデビューシーズンにシーズン最優秀選手賞を獲得するなどサポーターから絶大な支持を受ける。ハーフも可能な攻撃力が魅力で、間合いとステップで相手を翻弄する巧みなドリブルでスルスル持ち上がる。

他にも代表最多ゴールの長身FWカルロス・コストリーやベルギーで活躍したビクトル・ベルナルデス、ロンドン五輪の日本戦にも出場した若きアタッカーのアンディ・ナハルなど、粒揃い。ベースは非常にオーソドックスな4-4-2で、戦い方としてはワールドカップは基本的に相手が格上ということもあり、8枚のブロックで形成された守備からのカウンターがベースとなるだろう。