エムレ・ジャンがシュートした際、ミュラーはここにいた。

赤丸内の左手にいる選手がミュラーだ。

こういったシチュエーションではGKがどこにボールを弾きやすいか、おそらく無意識的に理解していたのだろう。相手DFの間にポジションを取り、後はボールがこぼれてくるのを待つだけだった。

このミュラーのシュートは、消して美しいものではない。

素早く弾むボールになんとか頭で合わせた格好であり、ある種無理やりゴールにねじ込んだ印象がある。

しかしそれでも、ミュラーはゴールを奪うのである。

これでミュラーは2014年ワールドカップから現在まで16戦で16ゴール。リオネル・メッシのようなドリブルスキルも、クリスティアーノ・ロナウドのようなスピードも、ズラタン・イブラヒモヴィッチのようなフィジカルもないが、天性の嗅覚でゴールを量産し続けている。

ちなみに、この試合でミュラーがあげた1点目もどこか不思議なゴールだった。

ダイアゴナルなドリブルで相手GKのポジションをズラし、逆サイドへとシュート。シュートの威力は弱かったが、ここしかないコースへとボールは飛んでいきネットを揺らした。

ボールがこぼれる所にミュラーあり――ゴールを“引き寄せる”ポジショニングが光ったシーンだった。

なお、試合はドイツが3-2で勝利し、グループFの3位以上を確定させている。

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