高校時代、卒業後の進路について母親と話し合った黒崎。

当時は漠然と日本の大学へ進学してサッカーを続けることを考えていたが、「サッカーで進学はしてほしくないとまでは言われていないですけど、例えば4年間で怪我をしたらどうするのか。やりたいことや学びたいことがあるならサッカーを使って進学することは全然いい。でもそうじゃないなら…」と言われた時に、具体的なイメージが浮かばなかった。

何のために大学へ―、様々なことを考えながら目を向けた先が海外だった。

欧州のスペインやフランス、ドイツも考えたが、卒業してすぐプロ契約を取れると思っていなかった。3部リーグなどでの働きながらプレーするのでは、なでしこリーグと変わらない。そこで、アメリカでプレーしながら返済不要のスカラシップ(奨学金)をもらって大学へ通うことを決意。困難な要素を挙げればキリがなかったが、何とかなると思った自分がいたという。

そんな黒崎は現在、2021年1月に設立した「株式会社ユウカ考務店」で代表取締役を務めている。事業の一つが選手の留学のサポートだ。

サッカーを“手段”にするチームメイトたちに衝撃

――黒崎選手は高校卒業後に渡米し、名門校であるケンタッキー大とオクラホマ大で計4年間を過ごしました。自身の経験をもとに感じる、女子サッカーでアメリカの大学へ進学するメリットは?

入るまですごく大変ですし…もちろん入ってからも大変なんですけど、例えば大学を卒業する4年後には自動的に英語がある程度話せるようになっています。それにより、サッカーでプロにならなくても自分の視野が広がると思います。

日本の大学に進学した同期の子たちと話をすることもありますが、WEリーグやなでしこリーグでプレーしている選手たちも、じゃあ引退した後どうするのかとかをあまり考えていないというか、「多分スポンサーの会社で働くと思う」みたいな感じでした。

自分がアメリカの大学に行っていた時、チームメイトの子たちでプロを目指している子って本当に一握りしかいないんですよね。

自分のやりたいことや学びたいことを見つける人もいればもうすでに見つけている人が、サッカーを“手段”として大学に入学している。その時点で違うというか、常に自分の将来を描いていました。

自分はもちろんプロになりたいと思ってアメリカの大学に行ったんですが、彼女たちの存在は衝撃的でしたし、そういう人たちと生活しているとすごく刺激をもらえました。