◆最も日本代表に相応しいタレントは?◆

勤勉なイタリア人指揮官が最終的にどういった答えに至るかは読めないが、最初の段階では、「3トップを機能させるために必要なFW」を探すことは間違いないだろう。そして、その人材が日本にいないわけではなく、未だ代表キャップを刻んでいない選手達の中にもオススメしたい人材は存在し、それは皆さんも各々あるはずだ。だが、ここではその言及は避け、10月に行われる予定であるアルゼンチンとの親善試合を前に、彼が目星を付けた選手達の顔ぶれがどうなるかを期待するだけに止めたい。それは、今回選出されたメンバーの中で既に特筆に値する新参者が現れたからだ。

その期待のニューフェイスは、代表初参加ながら、パラグアイとグアテマラの両試合でスタメン出場を果たした細貝である。

正直言って、細貝萌が代表入りしたニュースを聞き、「やっとか・・・」と感じたサッカーファンは多かったのではないだろうか。Qoly編集部の中にも彼の名前を推す声はあり、かくいう私もその一人だった。前橋育英高校時代はテクニシャンタイプの司令塔だったが、浦和レッズに入団後はフィジカルや守備能力を評価され、ボランチ、サイドバック、センターバックという後ろのポジションを主戦場とする選手へと変身。2008年辺りからボランチを主戦場とするようになり、レギュラーに定着すると長足の進歩を遂げ、わずか1、2年の間にJリーグでも最高クラスの守備的MFへと勇躍した。だが、彼を守備的MFと呼ぶのは語弊があるかもしれない。その特徴は、決して守備一辺倒というわけではなく、“司令塔時代”を彷彿とさせる足元のテクニックや球足の速いクサビのパス、筆舌に値する積極的なスペースランニングなど、攻撃面でもいくつものストロンポイントを備える、文字通り、好守で働ける万能型のMFであるからだ。彼のようにJリーグの舞台で出色のパフォーマンスを見せていた選手が代表に入るのは当然のこと。むしろ、昨年に代表入りを果たしていなかったことが不思議なぐらいで、本当に「やっとか・・・」と呟きたくなるのは私だけではないはずだ。

自分よりも上背のある選手たちとも真正面からぶつかり合い、肉弾戦に勝利してボールを奪うと、すぐに縦へのパスコースを探してクサビを打ち込み、そして、それと同時にランニングをスタートさせてレシーバー役を担う。代表戦という重圧がかかる中でも、いつものようにその特長を如何なく発揮した彼は、この2連戦で最も代表戦士に相応しいパフォーマンスを見せたと言っても過言ではないと思う。自陣でのボールロストやパスミスがあったことをなおざりにしてはいけないが、少なくとも、気持ち的に負けたプレイに終始し、「チャレンジ精神」の希薄さを感じさせた“数名の代表戦士”よりは観客の心に訴えるものを見せられたはずだ。


◆とにもかくにも、アルゼンチン戦◆

パラグアイ代表との因縁戦は1-0で勝利し、グアテマラ代表も2-1で撃破。失礼を承知で、“日本の大学生レベルと変わらぬA代表”と酷評せざるを得ない、今回のグアテマラ相手になんとか辛勝したことについては様々な意見はあるだろうが、試合後に “サムライ・ブルー”へ拍手を送っていた大勢のサポーター達の満足げな表情を見れば、一応は成功したと言っても差し支えはないか。

だが、この2連戦は監督も代行であり、“テストマッチの中のテストマッチ”であることは言うまでもない。本当の新たな船出は、現在、アルゼンチンサッカー協会と詳細を詰めている段階だと言われ、(予定では)10月に開催されるアルゼンチン代表との強化試合からだ。

日本代表初のイタリア人監督の下で出航する、2014年ブラジルへの旅。後、一か月余りで汽笛が鳴り響く。

(Qoly編集部員 T)


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