11月10日夜、ドイツ代表GKロベルト・エンケ(ハノーファー96所属)が列車にはねられて死亡した。32歳だった。警察によると、線路脇に彼の車がとまっており特に異常がないことから列車事故としながらも、自殺の可能性が高いことを仄めかしている。

エンケ選手は1995-1996シーズンにカールツァイス・イェーナでデビュー。U-21代表に選ばれるなど若くして期待された。ドイツではなくポルトガルのベンフィカで評価を高め、2002年夏にGK不足に悩むバルセロナに鳴り物入りで入団したが活躍はできなかった。

2004-2005シーズンにハノーファー96へ復帰すると、kicker誌による2004-2005ブンデスリーガ最優秀GKに輝き見事復活を遂げた。

2007年3月に代表Cap(*1999年のコンフェデメンバーに選出されるなど若くして代表召集はあったが試合出場はなかった)を飾ると、EURO2008代表メンバーに選出。2010年W杯予選でもコンスタントにプレーしていたが、8月のアゼルバイジャン戦を最後に身体の不調に苦しみ、9月に診察の結果「カンピロバクター感染症」と判明。治療とリハビリを経て、10月31日に行われた11節のケルン戦で復帰した矢先の出来事だった。

私生活では、妻テレサとの間に娘ララをもうけたが、2006年9月に2歳で心臓疾患により他界。たくさんのペットと共にすごし動物愛護キャンペーンに熱心に取り組んだほか、今年5月に養女レイラを迎えたばかりだった。だが、「サッカーをしているときだけ娘の死を忘れられる」とコメントを残しているばかりか、娘の眠るハノーファーから離れたくないためビッグクラブへの移籍を拒否。死亡した線路の近くには娘の墓があることから精神的な克服はできなかった様だ。

彼のプレーするハノーファー96のサポーターは事故後、本拠地のRWDアレナへ集結。献花とライトアップが行われた。かつて所属したバルセロナとブンデスリーガでは彼の死を受けて試合で黙祷を捧げる予定となっている。

事故を受けて、フランツ・ベッケンバウアー氏は「果てることのない悲しみに襲われている。」と声明を発表。ハノーファー96の公式Web (http://www.hannover96.de/) はトップページにエンケへの追悼コメントのみが表示され、それ以外の項目は見られない状態となっている。

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