EURO2004でベスト4に入ったチェコ代表の姿は、いまだに多くのサッカーファンの記憶に強く刻み込まれているに違いない。特に、2点を先制されながら、カレル・ブリュックナー監督の見事な采配で逆転したグループステージのオランダ戦は、2000年代における名勝負の一つと言って差し支えないだろう。ネドヴェド、ポボルスキー、コレル、シュミツェル、ガラーセクといった黄金世代の選手たちを中心に、“チェスケー・ウルチカ”(チェコの小道)と評されたテクニカルなフットボールは本当に魅力的なものであった。

しかし、あれから7年。先日のペルー戦を観た方なら分かると思うが、今のチェコ代表にとって“ウルチカ”は死語に等しい。


3月のEURO2012予選スペイン戦(1-2)と先日のペルー戦(0-0)のフォーメーション。

監督は2009年にイヴァン・ハシェク暫定監督の後を受けたミハル・ビーレク。現役時代はチェコスロバキア代表として活躍した右サイドバックで、チェコスロバキアがベスト8に入った90年W杯では全5試合に先発出場した。

システムは通常は4-4-2だが、強豪と対戦するときは1トップが多い。最近は守備に重心を置いたカウンター戦術が染み付いており、チームとしての戦い方がはっきりしていることはある意味で強み。一方で、攻撃のタレント不足からそうした戦術を取らざるをえないという側面もあり、ロシツキー、プラシル、ヒュブシュマン(代表発表後に怪我で離脱)という中盤の主力3人を欠く今大会は、残念ながらロングボールに頼る場面が目立つ。

それでも、今のチェコの売りである守備は、今大会も高い水準にある。チェフ、ロマン・フブニーク(5番)、カドレツ(3番)は現チームの主力で、ペルー戦に先発したライノフ(4番)とクシュニール(13番)も控えの一番手と、GKとDFに関してはベストに近いメンバーが来日。センターバックは本来であればライノフではなくシヴォク(6番)なのだが怪我を抱えており、日本戦の出場も微妙のようだ。

中盤は前述のように主力の3人が欠場。また、若手はU-19とU-21を優先したため、ビーレク監督は今季のガンブリヌスリーガ(国内リーグ)を制した、ヴィクトリア・プルゼニュの中堅選手を招集。コラージ(10番)、ペトルジェラ(11番)、トラップ(18番)の3人はペルー戦で揃って先発出場を果たした。24歳のヴァツェク(22番)はパスを供給しながら前にも出て行けるバランスの取れたセントラル。ペルー戦で光った数少ない選手の一人である。

FWはご存知、CSKAモスクワのネツィド(7番)が柱で、今季のガンブリヌスリーガ得点王のラファタ(21番)、DFのロマン・フブニークの一歳年上の兄、ミハル・フブニーク(15番)もそれなりの実力者。高原と稲本のフランクフルト時代の同僚フェニン(9番)と攻守におけるハードワークが売りのレゼク(19番)は、ペルー戦と同様中盤のサイドが主戦場となる見込みだ。

(筆:Qoly編集部 O)

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