「リーグで31得点、CLでは7得点とどちらのコンペティションにおいても得点ランキング上位に位置し、今季ハイパフォーマンスを披露しているプレーヤーは誰か?」と問われれば、皆さんは誰を思い浮かべるだろうか。
メッシ?ロナウド?イブラヒモヴィッチ?
いやどれも違う。
この答えは、バイエルン・ミュンヘンのエースストライカー、マリオ・ゴメスだ。
まず断っておくが、彼は決して今季絶好調なわけではない。良くも悪くも今季も例年通りの働きである。 その理由として私が考える彼の特性をあげていこう。
彼は元来“固め取り”の多い選手であり、よほどのスランプに陥らなければ、毎年どの大会でも得点王争いを繰り広げる。ここでデータを見てみると、今季彼が得点した全15試合中その半分以上の8試合が2得点以上をあげた“固め取り”だということがわかる。もちろん3-2でナポリに勝利したときのように価値ある複数得点(ハットトリック)もあるが、ほとんどは格下相手に大差をつけたときでの得点だ。
そして彼にはもう一つ致命的な弱点がある。 それは彼がこぼれ球を押し込むなどのごっつぁんゴールがとにかく多い選手であり、局面打開力が著しく低いということである。
局面打開力のある選手とは、ドリブルによって独力で切り開いたり、ミドルなどの飛び道具によって一発で試合を変えることができる選手のことを指す。例えるなら、前者はメッシ。後者はフォルランといったところだろうか。 また別のパターンとして、ルーニーのような攻守においての貢献度が凄まじい選手もある意味では局面打開力があると言えるかもしれない。
だが、多くのFWは上記のような優れた能力は持たない。前述の通り、マリオ・ゴメスもこの例から漏れることはなく、所属チームが好調な時にゴールを量産した結果、世界屈指のストライカーと評価されるまで至ったように感じる。そして、この点が私は疑問を感じさせ、コラムを書かせた所以である。
マリオ・ゴメスは、チームが不調な時、存在感を消してミスも頻発させることが多々あるが、このミスの多さは彼の基礎技術の低さを如実に表していると言えるだろう。
プレミアリーグでプレーする一流FW達はトラップミスを滅多にしない。これは普段からタイトなマークのなかでプレーしていることで培われたものだと思われるが、一般的に「守備がお粗末」と言われるブンデスリーガでさえミスを連発するプレーヤーが、「ただ点を取っている」ということだけで評価されていいものか?
チームが不調のときこそ、局面を打開するような働きでチームを引っ張るのが「エースストライカーの務」めというものではないだろうか。
要するに、彼は試合での貢献度というものが限りなく低いのである。攻撃の組み立て、守備においてのハードワーク、どちらも皆無。よって他の選手(バイエルンならばリベリ、ミュラー、クロース)が好調ならば自分も活躍できるというだけで、チームの調子が自分の調子に直結してしまうといえる。そんな選手がバイエルンという伝統あるクラブでスタメンを保持し続けて良いとは私は到底思わない。
無論、これは私の考えでゴメスを批評しているがあくまで個人的な考えである。
マリオ・ゴメスが得点以外でもチームに貢献している姿を見たときに初めて真のエースストライカーとして認めたい。
※選手表記、チーム表記はQoly.jpのデータベースに準拠しています。
筆者名 | 平松 凌 |
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プロフィール | トッテナム、アーセナル、ユヴェントス、バレンシア、名古屋グランパスなど、好みのチームは数あるが、愛するチームはバイエルン。 |
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