【ロンドン五輪】 ニュースTVスケジュール日程(男子)日程(女子)サポーター写真館

昨日の準決勝フランス戦でのなでしこの戦いにも難癖を付けている人がいるらしい。賛否はさておき、彼女たちに求められるものが以前のそれに比べて遥かに大きくなったということだろう。筆者個人は現時点でやや過剰な要求だと感じるが、それだけのポジションに近付いていることは確かだ。ものすごい成長スピードである。

さて、今夜25:00からいよいよ男子の準決勝メキシコ戦が“聖地”ウェンブリースタジアムで行われる。勝てばメダルが確定するこの大一番。日本のメディアは例によって、メキシコを破って銅メダルを獲得した1968年メキシコ五輪の試合をこれでもかとクローズアップしているが、同時に今大会のメキシコを『攻撃的なチーム』と紹介しているところが多いようだ。

確かにメキシコはボールポゼッションと攻撃とタコスを愛する国で、実際、大会前の日本との強化試合でもボールを支配し、準々決勝のセネガル戦では4ゴールを決めている。しかし、少しでもメキシコのルイス・フェルナンド・テナ監督のことを知っていれば、この五輪代表チームの試合を見ていればそのようなことは決して言えないだろう。今大会の彼らは攻撃的ではなく、守備を基本にタイプとしては日本に類似した『カウンターのチーム』と断言することができる。

元来メキシコといえば3バック(5バックとも表記される)で中盤を厚くし、選手が目まぐるしく動きまわる攻撃的なサッカーが特徴で、選手もサポーターもそれを好んでいるが、今回のチームは非常に分かりやすい4-4-2(4-4-1-1)を形成しほとんどポジションチェンジを行わない。それによってボールを奪われた際のブロックの作りが迅速になり守備面での安定が保たれた結果、日本とメキシコの2チームだけが無失点でグループリーグを突破した。テナ監督はメキシコ伝統の魅力的なサッカーよりも現実的な結果を重んじ、選手交代も非常に堅いため国民からの評判は決して良くないが、ここ一番で勝負弱かったメキシコを守備からしっかり勝たせるチームへ作り上げてきたと言えるだろう。

一方攻撃に関しては、伝統的なポゼッションはその時々で発揮されることがあるものの、基本的に人数をかけずポジションチェンジも行わないため遅攻の際は手詰まりになることが多く、それは彼らの本意ではない。奪ってからの縦に速い攻撃が特徴で実際、ここまで全7ゴールのうちのほとんどがカウンターによるもの。準々決勝のセネガル戦でいえば4ゴールのうち2ゴールは相手のDFとGKの連係ミスを付いたもので守備意識の高さが活きた格好である。

これらのコンセプトは基本的に大会前の強化試合から大きく変わったわけではない。ただ強化試合からの変化で最も大きな点はジオバニ・ドス・サントスの復調である。

2005年U-17世界選手権でカルロス・ベラと2トップを組み、優勝に貢献して一躍脚光を浴びたドス・サントス。しかしFCバルセロナ(スペイン)でのデビュー以降、クラブレベルではなかなか活躍できず、イングランドやトルコなど各地を転々とする日々が続いている。それでも代表における彼は別人だと考えなければならない。A代表不動のレギュラーであるにもかかわらず、今回の五輪は試合勘によるものかはたまた慎重なテナ監督が彼の起用を躊躇したためか分からないが当初は控えで、日本との強化試合でも途中出場であった。しかし、グループリーグ第2戦のガボン戦で後半から登場し2ゴールを決めて先発の座を勝ち取るとそこからぐんぐん調子を上げ、自慢のスピードとドリブルがカウンター攻撃の中心となっている。彼を自由にさせないことが日本勝利の鍵となるだろう。

その他、注目すべき攻撃の選手を挙げておこう。まずは今大会好調右サイドの小柄なアタッカー、ハビエル・アキーノ。体は小さいが体幹が強く、重心が低く加速力に優れたドリブルには、エジプト戦でも相手のドリブルにやや手を焼いた徳永は警戒しなければならない。 それから日本との強化試合でスーパーゴールを決めたマルコ・ファビアン。日本がグループリーグで敗退し、メキシコが優勝した今年のトゥーロン国際大会で7ゴールを決め得点王に輝いた彼の魅力はなんといっても決定力。タイプとしてはオランダ代表ウェスリー・スナイデル(インテル)にやや近いものがあり、テクニックもパスセンスも一定程度備えるが、第一にシュートを打てるポジショニングをすることが多く、その強烈はシュートは体を投げ出してでも防がなければならない。ただ一方で消えることも多く、彼自身のドリブル突破にはさほど警戒しなくていい。今大会は1.5列目のFW(もしくはトップ下)でスタートしたが、ドス・サントスの復調により左サイドでの起用が濃厚だ。 OA枠で最前線に入っているオリベ・ペラルタも試合のなかではほとんど息を潜めているものの、ゴール前の勝負強さと味方への落としには注意が必要だ。

ここまで彼らの長所を挙げてきたが、メキシコの堅い守備もよくよく見るとOA枠で参加しているキャプテンで守護神ヘスス・コロナのファインセーブに助けられている場面も多く、1人1人の集中力は高いものの必ずしも穴がないとは言えないので十分にチャンスはある。決めるべきところはしっかり決めて、コロナを乗せてしまわないことが大事だ。攻撃面はカウンター主体の戦いだが、コロナがFIFAのインタビューで『ポゼッションを握り、ゆっくり、しかし確実にバランスを保って攻撃すること』と話したように、今大会の日本の戦いを考えると彼らが主導権を握る時間が長くなるだろう。それは日本からすれば好都合である。早いうちに先制点を奪い、相手をより前へ引き出す展開が理想だ。

メキシコはセネガル戦で120分を戦った。幾らスタミナに絶対の自信を持つ彼らとて疲労はある。一方でセネガル戦から移動がなく、日本はエジプト戦で比較的消耗が少なかったとはいえ、マンチェスターから移動をしての試合である。条件、そして実力はほぼ五分、守備面とここまでの勢いでやや日本に分があると筆者は考える。

何より我らが“大和撫子”たちが苦しい試合を制し、一足先に決勝行きを決めただけにここで“日本男児”が負けるわけにはいかない。9万人を超すと予想される“聖地”ウェンブリー”での大一番。日本の勝利を信じて応援しよう。

(筆:Qoly編集部 H)

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