「午年」でも走る「虎の国」

「ドイツやアルゼンチンやイングランド?どこも西洋の国じゃないか」というご指摘は当然あるでしょう。私が読者ならそう思います(苦笑)。

では東洋、特に十二支が生まれた中国の影響が強い東アジア文化圏ではどうでしょうか。明確な特徴が出てきたのは韓国です。

<表4> 過去の「午年」W杯での韓国の成績

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2002年の地元開催は今でも「誤審」が話題になりますが、準決勝進出はやはり大成功でしょう。

そして他の「午年」大会でも健闘していました。基礎力が違うので、ドイツやアルゼンチンと比較すると見劣りするのは仕方ありませんが、1954年は朝鮮戦争休戦直後の大混乱の中、初参加の予選で日本を下した出場でした。本大会では2試合とも大敗でしたが、出場しただけでもベスト16相当です。1990年も2大会連続で出場枠2のアジア予選を首位通過しています(ただし本大会は3連敗)。

そして、1966年は韓国が予選参加を辞退しましたが、それを埋める形で本大会に出場した北朝鮮がアジア勢としての初勝利を挙げ、準々決勝のポルトガル戦でも3ゴールを決めて伝説のチームとなりました。

朝鮮半島で昔から有名な動物はトラです。1988年ソウル五輪のマスコットも虎の子のホドリ(男)とホスニ(女)でした。日本統治時代に作られ、同大会のサッカー会場になった東大門運動場(スタジアム)のそばにできた地下鉄の同名駅には、今でも壁にホドリが書かれているようです。ただ、このスタジアムは2007年に閉鎖され、現在はスタジアム記念館を含めた東大門歴史文化公園が整備されています(駅名も改称済み)。公園敷地の隣にはイギリス在住の女性建築家、ザハ・ハディドが設計した「東大門デザインプラザ」が建築中だとか……うっ、急に頭痛が。

ソウル五輪のマスコット「ホドリ」
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(※ソウル五輪組織委員会解散後の権利所有者は不明)

ただ、韓国は「寅年」W杯の成績は良くありません。<表3>の大会を1回前にずらすと寅年ですが、第13回・1986年のメキシコ大会では32年ぶりに本大会に出たものの1分2敗でグループリーグ敗退、その次の第16回・1998年のフランス大会も全く同じ成績でした。第19回・2010年の南アフリカ大会ではグループリーグを突破しましたが、1勝1分1敗で進んだ決勝トーナメント1回戦でウルグアイに負けなので、2002年のような強烈な印象は残っていません。南アフリカ大会では北朝鮮も44年ぶりに本大会に進みましたが、3戦全敗で終わっています。