4年に一度のW杯。そこにかける思いは、選手それぞれ様々である。初のW杯に夢や希望を抱く者、頂点に立つことしか頭にない者、この大会を最後に代表のユニフォームを脱ぐことを決めている者。
オランダ代表のアリエン・ロッベンにとってブラジルW杯は、リベンジの大会だ。前回の南アフリカW杯、チームは32年ぶりとなる決勝進出を果たしたが、スペインに敗戦。これがもし、完敗であったなら諦めもつくであろう。しかし、延長戦の末の0-1、しかもロッベンは2度の決定機を決められず、オランダは初の世界制覇を逃した。
あれから4年。間に行われたEUROは惨敗に終わったものの、所属のバイエルンにおいて、目標の一つであったチャンピオンズリーグ制覇を、自らの決勝弾で達成。ロッベン自身もこの4年間でプレーヤーとして一回り成長した。
主力MFのケヴィン・ストロートマンが欠場したこともあり、4年前よりさらに守備的な戦い方を余儀なくされている今大会のオランダ。ところが、不安の声を団結心に変えたチームはグループステージを3戦全勝で突破すると、ベスト16のメキシコ戦でも先制点を奪われながら、終盤に2点を決め見事逆転勝ち。そして、その決勝点となったPKをもたらしたのがロッベンであった。
今回は、オランダ国内でも物議をかもしたPK奪取からクラース=ヤン・フンテラールによる決勝弾まで、ロッベンのみを追ったテレビ映像(オランダのテレビ局によるもの)があったので紹介したい。
PKを獲得した後、すぐにボールを拾いに行ったロッベン。他の選手たちもこの時点では彼が蹴ると考えていたに違いない。実際、チームのPK担当は1番手がロビン・ファン・ペルシー、2番手は自分であったことを試合後に明かしている。(※ファン・ペルシーは既に交代)
しかし、90分間プレーしてきた疲れを冷静に考えた彼は、途中出場でフレッシュなフンテラールに「蹴るか?」と問いかけ、同じ30歳のストライカーが応じるとボールを託した。この前後、ディルク・カイトとも何かしらのやり取りがあったことが伺えるが、とにかくフンテラールのPKが決まった直後、ようやく笑顔を見せたロッベン。彼(彼ら)のこの大会にかける思いが感じられた一連のシーンであった。
オランダは現地時間の5日、準々決勝でコスタリカと対戦する。