◎イルマトフ、苦境を跳ね返して大本命へ

一方、西村の最大のライバルとして私が決勝戦レフェリー候補に予想したのは、同じAFCのウズベキスタンから来たラフシャン・イルマトフでした。同じウズベキスタンのアブドゥルハミドゥロ・ラスロフと、ロシア語で会話できる同じ旧ソ連圏のキルギスから選ばれたバハドゥイル・コチカロフが副審に付いています。イルマトフとコチカロフは前回の南アフリカ大会でもコンビを組みました。

イルマトフはGLで3試合、6月15日のスイス-エクアドル、6月23日のクロアチア-メキシコ、6月26日のアメリカ-ドイツを裁きました。しかし、どれも誰もが納得という審判ではなく、特にGL突破を賭けて事実上の直接対決のクロアチア-メキシコではクロアチアの明白なハンドを2度も見逃す痛恨のミス。これは致命的に見えましたが、その後にもう1試合GLを担当(かつーさんは「追試ではないか」とコメントされていました)。これで評価されたのか、この後の準々決勝、オランダ-コスタリカ戦も担当しました。合計4試合は、今大会では最も多く笛を吹いた審判の一人です。FIFAがいかにイルマトフを高く評価しているかが、良く分かります。

そしてもう一人、4試合担当したのはアルゼンチンのネストル・ピタナでした。GLではロシア-韓国、アメリカ-ポルトガル、ホンジュラス-スイスの3試合、そして準々決勝のドイツ-フランス。実は2試合目から4試合目まではイルマトフより先に担当していたので、むしろこちらが有力なのかとすら思っていましたが、

代表チームが決勝に進んだので、結果的にはピタナが決勝戦を担当する可能性は無かったのですが、それより一足先に大会から去る事になりました。

有力な対抗候補が消え、ますますイルマトフの可能性が高くなりました。もう「大本命」と言ってもいいかと考えます。

クロアチア-メキシコ戦の開始前の集合写真。
左からコチカロフ副審、クロアチアのスルナ主将、第4審判のネアン・アリウム(カメルーン、今大会では予備登録)、イルマトフ主審、メキシコのマルケス主将、ラスロフ副審。

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