次の日、アルゼンチン対オランダ。いつもの様にブラジル人対アルゼンチン人の野次合戦も始まった。
ただ自国という事もあり、いつもは元気なブラジル人サポーター達が、この日は劣勢だった。ブラジル人に何を言われ様ともアルゼンチン人は前日の7失点をここぞとばかりに皮肉ったからだ。
「1、2、3」とカウントが始まったかと思うと、「
7失点ヒャッハー」。ブラジル人が大会中常に歌っていた「1000ゴール決めたのはペレだけ、マラドーナは麻薬中毒者」を歌うと、替え歌で「7ゴール決められたのはブラジルだけ、アルゼンチンは決勝進出」と返される始末。「アルゼンチンは2回しか優勝した事がない、ペレ1人よりも1回少ない」と歌えば、「アルゼンチンは2失点しかしていない、ブラジルは7失点」と返す。
ブラジル人の野次は文化的に日本人とは少し違って、一つの"
遊び"も含まれていたり、言われる方も生真面目には聞いていない場合が多いが、この時ばかりは私も喧嘩をするのではないかとハラハラした。
モウリーニョをして、「この試合は50年先も語られるだろう。
同情する」と情けをかけられるくらい、今回の試合はブラジルにとって惨劇だった。1950年の前回のブラジルW杯の決勝でブラジルがウルグアイに後半逆転負けを喫し、そのままスタジアム内で自殺者も出た"マラカナンの悲劇"に次ぐ敗戦だったと言える。
ブラジル対ドイツ戦の後、
スタジアムではドイツサポーターの安全を考慮して、一時スタジアムに留まる様にアナウンスもあったそうだ。日本で見られる報道とは違って99%のブラジル人が日本人も見習う必要のあるくらい良い人です。日本代表サポーターの多くの方が現地で困った時にブラジル人に助けられた経験を語ってくれています。
僕もブラジルが大好きでブラジルに住んでいるだけに、
彼らに最高の形が訪れなかった事を本当に残念に思います。
筆者名:平安山 良太
日本で部活、街クラブ、Jクラブで幼稚園生〜大学生まで幅広く指導。その後東南アジアのプロクラブや代表での研修を経て、ブラジル全国一部リーグのAtlético Paranaenseで学ぶ。現在は2012年クラブW杯で優勝し世界一に輝いたSCコリンチャンスにて日々己を磨いています。
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