ドイツ代表MFクリストフ・クラマーにとって、2014年W杯は急遽回ってきたチャンスだった。

当初クラマーは、ヨアヒム・レーフ監督の発表する予備登録メンバーに含まれていなかった。しかし、チームに負傷が相次ぎ、急遽予備登録メンバー入りを果たすと、23名の最終登録メンバーにも招集。アルゼンチンとのW杯決勝ではサミ・ケディラが直前の練習で負傷したため先発出場を飾ることになり、夢の舞台にも足を踏み入れた。もしかすると、今大会に出場した選手の中で最も大きなステップアップを果たした選手かもしれない。

そんな躍進を遂げたクラマーだが、この決勝戦では相手のエセキエル・ガライと接触し31分で交代した。クラマーは脳震盪を起こし、しばらくプレーするものの後にベンチへと下がる。この時のクラマーの状態を、この試合で主審を務めたニコラ・リッツォーリが『ESPN』に語っている。

ニコラ・リッツォーリ(2014年W杯決勝レフェリー)

「ガライと接触してすぐ、クラマーは私の所へ来て『これってW杯の決勝だよね?』と聞いてきたんだ。

私は、彼が冗談を言っているかと思った。だから彼に尋ねたんだ、『もう一度言ってごらん』と。そしたら『この試合がW杯の決勝戦かどうかを知る必要があるんだ』と答えたよ。

そして私は『そうだよ』と言った。するとぼうっとしながら『ありがとう。それを知るのが大事だったんだ』と彼は答えた。

私はシュヴァインシュタイガーに、彼を交代させた方がいいと伝えた。そして、彼は交代したね」