現地時間25日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ第5節で圧倒的な個性を発揮し、ペップ・バイエルン相手に1人で3得点を叩きこんだのはマンチェスタ・シティFWセルヒオ・アグエロである。
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それはまさに、「アグエロ劇場」だった。
決勝ラウンド進出には是が非でも勝利が必要だったシティは、ホームでの試合ながらも一時はバイエルンに逆転を許す苦しい展開に。しかし、バイエルンに1-2とリードを許した85分、アグエロがピッチ中央をぶっちぎると同点弾をゲット。そして試合終了間際の後半アディショナルタイム、相手選手のコントロールミスを確実にマイボールとし、劇的なゴールを突き刺し逆転劇を達成する。試合に勝利したシティはこれで勝ち点を5に上げ、最終節のローマ戦に全てをかけることとなった。
バイエルンにとっては、アグエロ1人にやられたという印象の強いこのゲームだが、試合後、アグエロとバイエルンに関するとあるエピソードを英国『Mail Online』が紹介している。
記事によれば、なんでもバイエルンにはアグエロを獲得するチャンスがあったものの、「不真面目だから」という理由で獲得を諦めていたというのだ。
バイエルンにアグエロ獲得の計画があったのは2006年。アグエロがまだ17歳で、インディペンディエンテに所属していた頃だ。バイエルンはアグエロの獲得に1200万ポンド程度を見積もっていたのだが、クラブの重役カール=ハインツ・ルンメニゲが首を縦に振らなかったそうだ。
なんでもルンメニゲはアグエロの視察に訪れたのだが、そこで見たアグエロの態度が気に入らなかったという。後に、ルンメニゲは『Bild』の中で「アグエロのチームメイトがウォームアップをしている時、アグエロは壁にもたれているだけだった。試合の中で彼がしたことは、PKを決めたことだけだったよ」と回想しており、性格上に怠惰な部分があるとみなしたのだ。
その視察を終えたルンメニゲは、ウリ・ヘーネスに相談。悩んだヘーネスは当時の指揮官であるフェリックス・マガトに視察を指示しマガトもアルゼンチンへと飛んだのだが、当のマガトもルンメニゲと同じ感想を抱き、「私の貴重な自由時間を無駄に使わないでくれ」と言い捨てたという。さすがは“鬼軍曹”として知られる指揮官である。
こうして、バイエルンはアグエロの獲得を見送り、アグエロは2006年の夏にアトレティコ・マドリーへと移籍。その後は精神的にも成長し、肉体も徹底的に強化し世界を代表するストライカーへと進化した。そしてバイエルンが獲得を諦めてから8年、欧州最高峰の舞台でアグエロがその因縁の相手に爆発した、という流れである。
事の真相は不明だが、こうした不思議な“縁”がサッカーというスポーツを面白くしている要素であることだけは間違いない。両者はともに、準々決勝以降に再び対戦する可能性がある。今後、アグエロVSバイエルンという構図もサッカーファンの一つの楽しみになるかもしれない。