パレスチナはAFCチャレンジカップ2014に勝利したことでアジアカップの出場権を得た。「奇跡だ」と国民の多くが賞賛した。しかし、依然としてパレスチナは多くの問題点を抱えている。

現在のパレスチナは3つの"飛び地"で形成されている。ヨルダン川西岸、ガザ地区、東エルサレム(イスラエルが実質支配)の3つである。地域間の移動は制限されており、パレスチナの国内リーグはヨルダン川西岸のリーグとガザ地区のリーグで分かれて行われている。

今大会で19番をつけるFWアブドゥルハミード・アブハビブは『Guardian』紙に対してこう語っている。

「ガザ地区の難民キャンプのストリートでサッカーを始めた。(ガザ地区のリーグでプレーしていたが)6年前にエジプト、ヨルダンを経て西岸へたどり着いた。以来、ガザ地区には3回しか帰っていない。僕らにとってはハワイに行く方が簡単なんだ」

今回のパレスチナ代表チームは9人がヨルダン川西岸 、7人がガザ地区、4人がイスラエル市民権を持ち、3人が欧州や南米出身である。

FWのヤカ・イフビーシャーは、旧ユーゴスラビア(現スロベニア)出身のストライカーである。父親と若い頃離れ離れになったが、フェイスブックを通じて18年ぶりに再開を果たしたという。父親と同じ「パレスチナ人」としての代表デビューは昨年12月のことだった。

世界に散らばるパレスチナ系の選手を招集するのは容易なことではない。

今月8日はイスラエル側がパレスチナの選手を足止めしたというニュースも飛び込んでいる。

チームのコーチを務めるアフメド・アル・ハッサンは言う。

「我々は他のチームでは起こりえない多くの問題を抱えている。西岸の街の行き来すらチェックポイントを通過するのにしばしば苦労することがある。練習をしようにもキャンセルになることも多い。選手達がチェックポイントを通過できないことがあるからだ。イスラエル側はセキュリティの問題での渡航制限というがね」

それでも、いろんな地区から代表選手を呼んでいることに関して

「色んなコミュニティーから選手を呼ぶことで国家としての完全な代表チームになる」

と胸を張る。

16日の直接対決では2つの"パレスチナ"が激突する。緑や白に彩られた国旗がスタジアムを埋め尽くすだろう。歴史の1ページがここに刻まれることになる。

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