だから体脂肪率は何に影響するの?
こうしたことから何がわかるのだろうか?まず、いずれの論文でも前線の選手の方が体脂肪率は低くMFは特に低くなっている。日本代表こそFWが一番低いもののこれはトップ下の本田、宇佐美といった選手達もFW換算しているからだろう。つまりは、求められる運動量と共に体脂肪率が低くなっていることがわかる。
また、A.カシャニ(2013年)の論文では次の様にも指摘している。ゴールキーパーは比較的年齢が高く全体的に体脂肪率も高い、そして、年齢が"おじさん"になるにつれて体脂肪率は高くなっていることも指摘している。
同論文では「サッカー選手は約10%の体脂肪率が容認されるが、時折国によっては15%もの脂肪を持つ選手が確認されている」と記されている。これは今回のハリルホジッチの発言とも重なっている。
90分間動くための体力を維持するためには体脂肪率は大きな指標となっているのだ。
体脂肪と怪我の関係
では、体脂肪率は低ければ低いほうが良いのだろうか?今回の表には記載がなかったが、長友佑都は3%台だと言われている。例えば、マラソンや自転車レースの選手は4-5%が多いというが、一方で転倒時の骨折の頻繁さを指摘されている。また、ハリルホジッチ監督は12%以上と高い場合でも怪我が多いことを指摘している。
大阪教育大の福井、鉄口、入口(2009年)によると、そのシーズンに怪我をした大学サッカーの選手としなかった選手を比較すると、怪我をしたほうが10.0%(+-2.10%)と怪我をしなかったグループ(10.4%+-2.27%)よりも体脂肪率が低い値を示したという。一方で、体脂肪率が低かったグループの方が筋肉の柔軟性が高かったという。
諸説あるが、高すぎても低すぎてもダメなのは間違いがない様だ。
実際に、横浜Fマリノスでは10%を越えると栄養指導が入るという。つまりは、一桁台にキープすることが求められている。そう考えるとプレミアリーグのコーカソイド以外の平均値である9.2%、この値が日本代表が目指す理想的な指標と言えよう。