バーンズの才能を生かした非典型システム
2014-15シーズンのウェリントン・フェニックスは、恐らくAリーグで最も奇妙なシステムを使っていたチームであった。
かつてメルボルン・ヴィクトリーや香港代表を率いた経験を持っているアーネスト・メリック監督が使ったのは、いわゆる「ゼロトップ・システム」である。
(ウェリントン・フェニックスの2014-15基本フォーメーション)
形状は4-3-3であるが、ワントップは典型的なストライカーを置くのではなく、中盤を本職とする者を置き、最前線から下がってゲームを作り出す。トッティの下にペッロッタが配置されていたスパレッティ時代のローマ、そして2010年W杯の岡田ジャパンのような形だ。
そして、昨季のウェリントンで重要な「最前線のゲームメイカー」を務めたのは、ベガルタ仙台ファンならお馴染みのマイケル・マグリンチィである。
ご存じの通り、マグリンチィは体格には優れていないが技術があって器用な選手。3トップの中央に彼が入ることで前線での展開を生み出し、その外側と下から他の選手がどんどん飛び出してゴールを狙った。
そして、その中で「右サイドに置かれた点取り屋」として力を発揮したのが、ネイザン・バーンズである。
ちなみに、左を務めたのは「初めてクラブワールドカップに出場したフィジー人選手」として知られるロイ・クリシュナで、そのサブがガイナーレ鳥取サポにはお馴染みコスタリカ代表FWケニー・クニンガムであった。
バーンズとクリシュナがあげたゴールは二人合わせて22点。このチームがいかに「ウイングに点を取らせる」システムであったかがよく分かる結果だ。