ご無沙汰しております。前々から書こう書こうと思っていた内容にやっと着手しました。

「マンチェスター・ユナイテッドはいかにして稼ぐのか」です。

前置きとして、近年「サッカー」というコンテンツは世界中で著しい成長を遂げました。紆余曲折がなかったわけではありませんが、もはやビジネス抜きにして語ることはできません。クラブは企業なのです。

まどろっこしいのもアレなので先に言っておきますと、マンチェスター・ユナイテッドは今やフットボールクラブとしてよりも、「メディア企業」として稼ぐ方向にシフトしています。控えめに言っても、メディア的性質が急成長していることは紛れもない事実です。

他のスポーツ業界(特にアメスポ)でも同じ傾向にあるのですが、分かりやすい例として取り上げていきたいと思います。

◆デロイト・フットボール・マネーリーグ

Qoly読者のみなさんならご存知の方が多いと思われますが、デロイト社が「Deloitte Football Money League」という、簡単に言えば「サッカークラブ収入ランキング」を毎年発表しております。自分はこれを眺めるのが大好きでして、毎回楽しみにしております。

2000年代前半はマンチェスター・ユナイテッドが暫く首位に座り続けましたが、フロンティーノ・ペレス就任後のレアル・マドリーが収入を劇的に増やし続け、2004−05シーズン以降、現在に至るまで首位の座を守り続けています。

近年ではマドリー以下、2〜4位はユナイテッド、バルセロナ、バイエルンが入れ代わり立ち代わり固まっており、収入規模では「スーパーメガクラブ」と呼べるほど、他のクラブと一線を画しています。(ユナイテッドは来年度CL不出場もあって落ち込むのでシティとトントンか抜かれる可能性もありますが)

◆ユナイテッドはどこよりも稼いでいる

ユナイテッドはプレミアリーグ発足以降、現時点では英国で最も成功したクラブであることは疑いの余地がありません。サー・アレックス・ファーガソンによる長期政権で積み上げたトロフィー数とビジネス面での成長においては言うまでも無いでしょう。ファーガソン引退後に少し躓いたものの、総収入額において英国トップの座を守り続けています。

決算内容を見ると「EBITDA」という国際会計的に収益性の指標となるものがあるのですが、他のスーパーメガクラブと比較しても13−14シーズンではおそらく一番の数字となっていまして、プレミアの中では当然ずば抜けた数字となっています。

フォーブスもデロイトと似たようなランキングを出しておりますが、こちらは、クラブの資産価値をランキングさせています。こちらでもサッカークラブとしては世界一の営業収入額(米ドル換算)を叩きだし、スポーツクラブ全体ではアメフトのダラス・カウボーイズに次いで二番目となっています。

これらの歴史を見ていると、ユナイテッドのいいところばかりに目が行きがちですが、それ以上にレアル・マドリーがペレスによっていかに成長を遂げてきたか、ということもよくわかります。

話をユナイテッドとプレミアリーグに掘り下げる前に下記リンクに興味がある人はどうぞ。

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