◆スポーツの持つ「生」の強み
TVコンテンツも昔はVHS、今ではハードディスクに録画が可能になり、レコーダーによるCMカットなんて機能もあったりします。番組も有料で配信されていることも増えてきたので、「生視聴」がそこまで重要じゃなくなってきていることは間違いありません。ドラマが昔ほど視聴率を叩き出せていないのもこの辺りの要因が大きいと言われています。
ただし、「スポーツ」に限って言えば別の話で、「生視聴」の価値がとても重要なコンテンツです。
既に作られたドラマやドキュメンタリーなどの「番組」とは異なり、時折筋書きのないとんでもないプレイが見られたりします。都合しかたない場合は除き、応援するクラブの試合結果を知ってから、後々90分見返すのでは、ドキドキ・ワクワク度は劇的に下がってしまいます。クラブとは別の話ですが、ワールドカップがリアルタイムで観られない、となったら興醒めもいいところです。
NFLスーパーボウルの30秒のCM枠を買うのに4mドルかかると言われていますがこれがいい例と言えるでしょう。こうしたスポーツの特性上、お金を支払ってでも「生」で見たいコンテンツとしての価値はこれからも高まっていくことでしょう。そしてそこでの広告の価値もまた高まると言えます。
プレミアリーグは、一試合の盛り上がりとしてはスペインのエル・クラシコには敵わないかもしれませんが、他リーグに比べて、ビッグクラブ、メガクラブと呼ばれるクラブが多い分、その試合数も多くなります。
コンテンツとしてのリーグ全体としての魅力は他のリーグを上回り、世界10億人と言われる視聴者数を誇るコンテンツはそうありません。国内外から高額な放映権料を得ていることは当然と言えるでしょう。
先述の通りプレミアリーグやチャンピオンズリーグの放映権料の伸び具合はバブルと言えなくもありませんが、近年のMLBやNBAといった他のスポーツにおいても、2〜3倍の放映権料で契約更新されています。更に言えばプレミアリーグはこれでもまだNFLには追いつけないのです。
サッカーのコンテンツ力が世界で弱まることは考えにくいので、新興国の伸びが落ちつかなければ、NFLを超えるかどうかはともかく、今後も伸びることは間違いないでしょう。