ハビエル・サビオラはかつて、アルゼンチンで最も期待されるストライカーであった。

名門リーベル・プレートで16歳の時にデビューし、10代にして南米最優秀選手に選出。自国開催された2001年ワールドユースでは怒涛のゴールラッシュで得点記録を塗り替えて母国を優勝に導き、大会後、破格の待遇でバルセロナへ移籍したのである。

バルサでもクライファート、リヴァウドとの良好なコンビネーションで初年度に17ゴールを決め、その約束された将来を誰もが疑わなかった。しかしその後、低迷が続くなか大型補強を繰り返すチームで居場所を失い、モナコへ移籍。以降は各クラブを転々とするがかつての輝きを取り戻せず、今夏14年ぶりにリーベルへ復帰する。

それから数か月が経過した。リーベルはマルセロ・ガジャルドが監督に就任した2014年からわずか1年半で、コパ・スダメリカーナ、コパ・リベルタドーレス、さらにはスルガ杯まで制し、一時は失墜した名門の威厳を完全に取り戻している。だがサビオラは加入以来まだ1ゴールもあげられていないのだ。

今年チームは国外カップ戦での戦いを重視したため、既に国内リーグ優勝の可能性は無くなった。31日に行われた第29節ベレス戦も、連覇を目指すコパ・スダメリカーナの準決勝が控えることもあり主力を休ませ、サビオラが先発起用された。

だが、彼の輝かしい時代を知る人間にとって、あまりにも悲しいシーンが生まれる。

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