3、戦術的柔軟性に欠ける選手の多さ

現在のチェルシーは、百戦錬磨のベテランが揃ったチームという訳ではない。むしろ、それぞれの選手達のハッキリとした強みを組み合わせながら戦うことで、昨シーズンは躍進を成し遂げた。チーム全体が機能していれば、マティッチのボール奪取能力は大きな武器になるし、アザールのドリブルも攻撃を牽引することが可能だ。

しかし、そのバランスを取っていたジエゴ・コスタ、セスク・ファブレガスが抜けることが増えてくると、チームは脆さを見せることになる。中盤の選手はジョゼ・モウリーニョに言われたことを守ろうと必死に働いているのだが、少しでも状況が変わると対処出来なくなってしまうのである。

解りやすい場面が、リバプール戦の失点シーンだろう。

ミケルはジョゼ・モウリーニョの指示で、DFラインをカバー。CBのテリーやケーヒルが0トップ状態でプレーしていたフィルミーノのチェックに向かえるようにしていたのだが、完全に相手がいない状態でもDFラインに残ってしまう。

このポジションに残るのは走り込んでくる選手を抑えるためであって、選手がいないのであれば臨機応変に動かなければならない。しかし、失点シーンではミケルはDFラインで足を止めてしまっており、ラミレスが中途半端に横から追わざるを得ない状態に。結果的にコウチーニョに突破され、完璧なミドルシュートを撃ち込まれてしまった。

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ミケルも元々はオフェンシブなプレイヤーだし、ラミレスも運動量と守備力はあるものの、ポジショニングに優れたタイプではない。

臨機応変にDFラインの前で対応出来る選手がいないことは、上手く回っていないチームにとって大きな問題になっている。更にDFライン全体が低い位置に残っていることも、こういった問題を深刻化している。

相手が少しやり方を変えた時に、今年のチェルシーが一気に弱さを見せるのは「チームの中で判断が出来ず、指揮官に依存しすぎていること」を示しているのではないか。

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