スティーヴ・ハーパー
「誰もが、引退の準備は出来ていると考えているものだ。
しかし、それはただ選手の人生に大きな穴を残していく。精神的なテストを課していく。それは本当だ。
私は30代の前半、ニューカッスル時代に鬱病と診断された。良い人々と話し、私は軽度の症状だった。私はしばらく悪い環境にいたよ。
それは、間違いなく自分の役に立っている。まるで暗い穴の中に落ちていくような、それが迫ってきているような感覚がある状況だった。
その経験が、私を再び鬱病に近づけさせなかったと思う。
多くの選手は、私ほど幸運ではない。自分は、病気が私を飲み込むことを止められるだけの立場にあった。
しかし、私の人生には多くの溝が生まれてしまったし、それを満たす必要もあったのだ。私は、それを今サンダーランドで満たすことが出来た」
「(指導者を考えている?)
それは誰もが考えるものだ。キャリアの終わり頃になるとね。しかし、誰もがそうなれるわけではない。仕事は有限であり、初心者に回されることはごく希だ」
「(プロサッカー選手組合【PFA】との会談をした?)
私は最近PFAの担当者と夕食をともにして、彼らの動きを批判した。
『あなたたちは、プレーしている時の選手に対しては素晴らしい仕事をしている。しかし、私のような年齢の人々は、離婚、破産、そして落ち込みとの戦いをしているんだ』と。
彼らは私と接触し、その教育コースについて説明した。しかし、私もPFAのメンバーだったが、そのことについては知らなかった。もっと選手へのサポートを知らせる必要がある。
特に、17~18歳の選手たちには。もし幸運にも15年間プレーできたとしても、その後50年間生きる。サッカーの次に何をするのか?
それは雨の日のために蓄えを取っておくというような話ではない――ということを忘れるのは簡単だ。人生の残り全てのために蓄えなければならないというのに。
引退というのは、永遠に続くモンスーン(雨季)のようなものだ。そして、キャリアを終えるために、選手は箱船を建造しなければならないのだ。
それはお金の問題じゃない。ドレッシングルームの関係、冗談を言い合える人々、そして友人関係も失ってしまうんだよ」
『引退は永遠の雨』 鬱病に悩んだサンダーランドGKが語る
Text by 石井彰(編集部)
カズに憧れて全身赤のスーツを買ったことで校内一の人気者になったが、中身が伴わず一発屋で終わったというエピソードを持つ島根県出身のエディター。その影響か赤いチームを好み、ヴァランシエンヌ、レイションエス、ノッティンガム・フォレストなどを応援している。
RELATED TOPICS
9月28日、『Mirror』は「ストーク・シティに所属しているスコットランド代表MFチャー...
9月9日、『Guardian』など各メディアは「ハル・シティの元イングランド代表MFジェイ...
鬱病に苦しんでいた33歳の元ザンクト・パウリDF、自殺でこの世を去る
7月20日、『Kicker』は「かつてザンクト・パウリでプレーしていたDFアンドレアス・...
4月2日、FIFPro(国際プロサッカー選手協会)は「現役サッカー選手の26%、引退した選...