アジアカップのレギュラーだった男は?
アジアカップ2015をご覧になった方は覚えているであろう、あの熱血GKはマジード・ナースルという選手だ。あの時はアリ・ハシーフが怪我をしたため3名に滑り込んだ状況だったのだが、ポジションを奪ったのだ。
22歳でフル代表にデビューし、アル・ワスルで活躍を見せたベテランである。ロンドン五輪組よりは随分年上で、このチームでは基本的に「異物」だ。
そのため、未だに筆者には彼が代表の守護神という意見に賛同できないところも…ロンドン五輪以前ならともかく、今のチームにはたまたま入ってきて一時定着したという感覚なのである。
彼の特徴は圧倒的な反射神経、溢れ出る闘争心、そして目にも留まらぬ手の速さである。
ユース時代に審判に石を投げて1年、ワスル時代に副審暴行で5試合、椅子をぶん投げて1試合、キケ・フローレス監督を殴って17試合。そこで一旦現役を引退している。
そしてキケ・フローレスに誘われてアル・アハリに移籍すると、その直後にアル・ムハーラクの選手に頭突きで出場自粛、入ってきたファンを殴る、イランのカメラマンを暴行…というUAEのジョーイ・バートンともいえる存在だ。
今回逆に彼が怪我によってチームを離れている。そのため他のゴールキーパーがやってきているわけだが、決してそれが戦力ダウンになるわけではない。なぜか? それは当然、チームの中心たるロンドン五輪のメンバーとして戦ってきた「黄金世代」の選手がいるからだ。