フィリピンリーグでMVPを獲得した嶺岸光をご存知だろうか。フィリピン人の母と日本人の父のもとに生まれた彼は聖和学園高校卒業後、仙台大学に進学してプロを目指すも、彼に声をかけるクラブは最後まで現れなかった。紆余曲折ありながら大学の先輩や後輩の協力を得て、母の祖国でプロになる。みちのく出身のアタッカーは、遂にフィリピン代表に選出された。

日本ではプロ入りできず、サッカーを辞めようと考えていたという嶺岸。母のルーツであるフィリピンへと渡ったキッカケは、意外な人物との繋がりであった。彼の運命を変えた出来事をこのインタビューで明らかにしよう。

「東南アジア経験者」との出会いが変えた運命

ーー最初に嶺岸選手がサッカーを始めたきっかけを教えてください。
サッカーを始めたのは4、5歳ごろ。2人の兄がサッカーしているところを見ていて、気づいたら自分もサッカーをやっていたという感じです。

ーー高校はパスやドリブルを駆使したテクニカルなサッカーで有名な聖和学園に在籍していましたが、当時はプロ入りを考えていなかったのですか?

もちろんプロ入りは夢でしたけど、全くの無名選手だったんで現実的には厳しかったですね。高校サッカーで結果を出せず、燃え尽きた感がありました。進路の相談を加見先生(聖和学園高校監督)にしたら、「お前は仙台大な」って言われてそのまま入学して(笑)。東北で一番強いチームと聞いていたので迷いはなかったです。

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