大事なのは「頭」と「メンタル」

選考で重視するのは「足下のテクニック」だそうだ。ティエリ・アンリ(元モナコ、アーセナルなど)やニコラ・アネルカ(元アーセナル、チェルシーなど)、現役選手だとエンバッペやブレーズ・マテュイディ(ユヴェントス)など、卒業した“元生徒”を見ればいかにINFがテクニックを重視しているかよくわかるだろう。

もちろん、テクニックだけではINFの狭き門を通過できない。フィジカルも大事な要素だ。ただし、フィジカルはデカければいいというわけではなく、将来の発達段階がどれほどのものかを測るための参考材料にされるという印象だ。例えば、「敏捷性に欠けると評価は低くなる」のだとか。

それよりも大事なのは「メンタルや学業面」であるという。オーディションでは筆記テストや面接も課され、さらに学業成績も見られる。あまりにこの面が悪いと才能があってもゴメンナサイ、となってしまう。サッカーには関係なさそうに見えるが、頭の良し悪しは特にキャリア選択で露呈されてしまう要素でもある。将来サッカーで食べていけなくてもセカンドキャリアの心配をなくす必要がある。

半年かけて選考される

こうして、テクニック、フィジカル、メンタルなどを半年かけてテストされる。そう半年かけて選考は行われ、最終的に23人の子どもが選抜される。ポジションに関しては、「最低限のバランスは取るが、基本的には囚われない」というのが基本方針。この年代でポジション決めはしないから、ポジションはどうでもいいのだ。傾向的には毎年MFが多くなりがちではあるらしい。

なぜジュニアユース世代でこういった連盟の育成機関があるのだろうか。それには、歴史の話をしなくてはならない。そもそも、連盟の育成機関がなかった頃、ちょうど日本が高度経済成長期にあった頃(1960年半ば)まではフランスのプロクラブも今のJリーグ、いやそれ以上に自治体に依存した経営だった。規模が小さく経営利益を出すことに必死で、育成に回すカネもなければそもそも育成が重要という長期的視野も欠落していた。

そこで、連盟側が育成しないといけないように仕向けたのだ。とはいえ、各プロクラブの育成組織が整備されるまでには時間を要する。そこで連盟の育成組織を作ることで各クラブの手本を示し、少しでも早く代表チームの強化を目論みたのだ。こうして1972年、中部のヴィシーという都市でユース世代(高校年代)の育成組織がスタートする。

その後ユース育成の哲学が浸透し、どこのクラブも充実した育成組織を持つようになると国立機関によるユース年代の育成は必要ないと判断される。そして88年、場所をクレールフォンテーヌに移して一つ下のジュニアユース年代の育成に移行して現在に至る。